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回復期入院患者の歩行獲得に関連する要因の検討:決定木分析を用いたアプローチ


はじめに

回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期)において、患者の歩行獲得は、在宅復帰や社会復帰に向けて重要な課題である。しかし、歩行獲得に関わる要因は複雑であり、個々の患者に合わせた予測が困難である。

本研究の目的

本研究では、決定木分析を用いて、回復期入院患者の歩行獲得に関連する要因を検討し、歩行獲得の可否を予測するモデルを構築することを目的とした。

方法

2020年4月1日から2021年1月22日までに当院回復期に入院し、退院した患者86名を対象とした。対象者から、年齢、疾患、身体機能評価、ADL評価、退院後転帰先などを後方視的に収集した。

結果

歩行可能群と歩行不可群を比較した結果、年齢、BMI、MMSE、Alb、入院前歩行の可否、下肢骨折の既往、心疾患の既往、膝伸展筋力、SPPB、BMS、入院時・退院時のFIM運動項目・認知項目・合計点、FIM利得、在院日数、転帰先、実績指数で有意差を認めた。

決定木分析の結果、歩行獲得の可否を予測する因子としてSPPBとBMSが抽出された。SPPBが2点以上の患者では100%歩行獲得可能であることが示唆された。また、BMSが26点未満の患者では94%歩行獲得困難であることが示唆された。

考察

本研究の結果から、回復期入院患者の歩行獲得の可否は、入院時のSPPBとBMSの測定により予測可能であることが示唆された。SPPBとBMSを併用することで、高い的中精度で歩行獲得の可否を予測することが可能となる。

結論

本研究は、回復期患者の歩行獲得の可否を予測する新たな方法を提供するものである。今後は、疾患別での検討などを行い、より精度の高い予測モデルの構築を目指していく必要がある。

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