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誰かの優しさと余裕

余裕っていうのは、優しさっていうのは、持っている方から持っていない方に流れていくもの。



通勤前、急いで歩く私に道を譲ってくれたあの人は、どこかから作り出した余裕を私にくれた。
優しさというかたちで。


エレベーターを待っていたけれど、スーツケース持ちや子ども連れが並ぶのを見て、階段を探した。

そんな私は、おばあちゃんの作ってくれるカツ丼が待つお家へ向かう。



優しさを最初にくれる人は誰なんだろう。

私はいつも、誰かの余裕で助けられて、その優しさを又貸ししているだけなような気がするけれど、私が買ってきたカヌレでおばあちゃんが喜んでくれたらいいな、と思う。

3種類の小さいカヌレは綺麗に切り分けて半分こ。
食べたあとの袋を捨てようとすると、これは捨てないで、とおばあちゃん。不思議だったけれど、すぐに名前を忘れるから覚えるまで置いておくの、と教えてくれた。


お腹も気持ちも満たされて、いつもならまだ働いている時間だけど、もう寝てしまうことにする。

ふかふかのお布団に包まれて、久しぶりに本物の安心感を感じて眠るような気がした。
ここ最近のなかで、寂しさから1番遠くにいる夜だと思った。


たくさんの心の余裕を抱えて、少し早くに家を出る朝。
何度でも来よう、と思う。ただいまといってきますを、何回もしよう。私が見えなくなるまでずっと見送ってくれるおばあちゃんを見て思った。


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