夜
1人でいて不足を感じない、完璧な夜
眠いのに、寝るのがもったいない夜
考えが捗る夜
誰かのためでも未来のためでもなく
今の、私のため、だけに過ごしていい夜
掴めそうで掴めないから起きているような夜
一人暮らしの、夜は寂しい
あの手この手を尽くしてもまだ、
そんな思考が染みついて離れなかったけど、
不意に、夜が味方に見えた
夜くらいしか、私たちは1人になれない
そうだ、
私はこんな夜がちゃんと大好きだった
言葉が好き、写真が好き、絵が、服が、ご飯が、お部屋が好き
だけど写真家でもなく、小説家でもなく、画家でも料理家でもなく、第一に表現者でありたい
これが、根底の願いなのかもしれない
いつでも叶うようで、いつまでも叶わない、表現者であるということ
形あるものとも、ないものとも、そのどちらとも取れる中間
絵本のなかのきらきら光る星、ふわふわの雲、シャボン玉、もしくはまっくろくろすけみたいに掴めないものが、きっと私が子供の頃からずっとほしかったもの、浪漫そのもので
手にできないからせめて、追いかける
追いかけることしかできないから、逆をつけば、むしろいつまでも終わらないですむ
儚いようで、ほんとうは無敵かもしれない欲望を、持て余して、やっぱり掴みきれずに明日になって、次の夜もまたこうやって眠ってしまう、そんな夜を繰り返す
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