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不幸の切り売り

他人には取るに足らない出来事かもしれない。

休日にとある繁華街を歩いているとネクタイを締めた男性に声をかけられた。男性は首から大きな宣伝パネル(マンションか住宅だった気がする)を下げていた。季節的にも夏の前でやや汗ばむような日だった。声をかけられ足を止めて話を聞いた。一度モデルルームに来てもらえないか。それが無理なら書類に名前と連絡先を書いてほしい書いてほしいと繰り返し言ってくる。はっきりと断れない僕はいやいやいやと曖昧に誤魔化すことしかできない。歩き出してもどこまでもついてくる。次第に鬱陶しくなるが、それでも断れず最後には名前と連絡先を書いた(友人A君の名前と適当な電話番号。A君ごめん)。

コンビニでお会計をしようとしたとき店員さんがその時間一人しかいなかったのか、レジを待つ行列ができていた。自分の順番が来て支払いをしようとしたが後ろのお客さんはさらに増えて店員さんも列を気にしている。僕も早くお会計しないとと思って小銭を探したが(多分小銭だけで支払えるくらい財布にはあった)待たせていることに耐えられずお札を出して結果更に小銭が増えてしまった。

家に帰り、ポストを見てみると様々なフリーペーパーやらチラシやらで満タンになっている。特に見ることもなくそのまま全てゴミ場に突っ込んだ。捨てても捨ててもまた入っている。いらないものばかりたくさん集まって持っていて、そんなものばかり周囲にたくさんあるような人生だった。

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