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【香川県】うどん県がうどんに使っている水の量【ゆでるな】

※ほぼ全ての内容に対して誰にでも閲覧、検証可能なソースを用意しています
※概算である事に注意して下さい

『香川県民はうどんを食べてるので水不足になる。本当なんでしょうか?』
という質問をいただきました。

早明浦ダム渇水のニュースが流れると

「うどんをゆでるな」「うどんのせいで水不足になる」

このような事がネットで囁かれる訳ですが、これって本当なのでしょうか?

ざっくりと計算してみました。



■うどん店が1日で使用している水の量を調べます

KSB瀬戸内海放送が2022年に作成した記事に以下のような記述を発見しました。

「今年は史上最大クラス」7月2日から香川県で第3次取水制限 うどん店から心配の声より出典


>この店では麺を湯がいたり、しめる作業の他に釜を洗う作業などで1日に約5トンの水を使っています。

『1日に約5トン』だそうです。


↑こちらのホームページに「うどん店にアンケートを取って調査した結果」が載っていました。

『8トン』とのことです

5トン…?8トン…?
めんどくさいので『10トン』という事にします。

■うどん店の店舗数を出します

令和3年6月時点で香川県内にそば・うどん店が『479店舗』存在しているそうです。
めんどくさいので香川では「そば屋」もうどん店です。

■「うどん店が年間で使用している水の量」を計算します

まず1日当たりの使用量を計算します。

479店舗x10トンで
4,790トン/1日』です。

次にうどん店の年間営業日数と、日あたりの水使用量をかけます。

うどん店の定休日が週1日だとすると、年間の休みは52日。
更にお盆は3日、正月と三ヶ日は休んでいる(年末は年越しうどんがあるので営業しています)として、1年間の営業日数は

 365日-52-3-3=『307日』です。

年間休日58日・・・イケそうですね。

1日の使用量4,790トンに営業日数307日をかけると
1年間におけるうどん店での水使用量は
ざっくり概算『147万530トン』ということになります。

■早明浦ダムから香川に供給されている水の量と、うどんで使用している水の量を比較します

香川県で使用されている水道水は、全てが早明浦ダムから供給されている訳ではありません。

◾️香川県における香川用水の利用状況
香川用水は昭和50年(1975)の通水開始以来、安定して水を供給し続けています。これに伴って香川用水に 水源を依存する割合としては、県内使用量のうち農業用水では約25%、水道用水は約50%を占めています。

「香川用水のあらまし」より
香川用水(早明浦ダムの水)取水割合

「水道用水のうち約50%」が早明浦ダムからの水です。
ですので、うどん店で使用されている『147万530トン』の50%、
『73万5265トン』が「早明浦ダムから来ている水の量」という事になります。

それでは「うどん水」と「早明浦ダムの水」を比較してみましょう。

早明浦ダムから香川県に供給されている水の量は1年間で『2億4700万トン』。(早明浦ダムホームページ 目的③新規用水の確保より

早明浦ダムから香川に供給される水の量『2億4700万トン』と、うどん店で使用している早明浦ダムの水の量『73万5265トン』を比較すると・・・

その比率は『0.3%』という事になります。

◎結論

香川県がうどん店で使用している水の量は、早明浦ダムから香川県に供給されている水のわずか0.3%『73万5265トン』です。

「うどんのせいで水不足になる」が完全にネタであることがわかります。

※ここに「各ご家庭で消費しているうどんに使う水の量」が加わる訳ですが、家庭での消費についてはデータが存在しないため何も判断できません。ただ、ご家庭で使うのは「冷凍麺」もしくは「茹で麺」がメインになるとは思います。

■各種データで見る水使用量

・平成22年の「上水道年間取水量」ランキングです。

うどんを茹でまくっている香川県の上水道年間取水量は、全国37位であることがわかります。

・2015年の「人口1人当たりの生活用水使用量」です。
※生活用水には商業施設で使用されている水も含みます。

徳島 138.8㎥
香川 136.3㎥
愛媛 116.1㎥
高知 128.8㎥

参考資料 第2章
最終ページより

・2015年の水使用量です(億㎥/年)

徳島 7.2
香川 7.6
愛媛 12.4
高知 5.9

参考資料 第2章
最終ページより

うどんを茹でまくっている香川の水使用量が、他県と比べて特別多いわけではないことが分かります。

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