ゼロ年代最高の本

ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」上巻を読んだ。朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第一位を受賞した作品で、有名な本なので知っている人も多いと思う。
内容としては人類がどのように発展してきたかについての著作である。著者の知人の疑問「なぜ世界の様々な地域によって、文化の発展の精度や速度にこれほどの差が生じたのだろうか」に答える形で、人類の発展過程が解説される。
結論としては、タイトルの通り、鉄などの資源の豊富さや狩猟採集物、農産物の豊富な地域ほど、発展しやすいことが挙げられる。それ以外にも病原菌に対する免疫によってヨーロッパ人は有利にアメリカ大陸に侵攻したことも説明されている。また東西に長い大陸であれば、気候が大差ないため、農産物が広がりやすい。南北に広がっている場合は気候の差が大きいため、食物や文化の伝播も困難となる。
一般論として、発展を進めていった国やその人は頭脳が優れていると思われがちかもしれないが、その実、環境に恵まれており、各地域において頭脳さは見られないと考えるのが正しいようだ。
著者の論理展開はとても優れていて分かりやすく説得力のある一冊だった。読んだのは上巻であるため、下巻ではどのような論理展開、発展の説明がなされるか、今から読むのが楽しみだ。

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