見出し画像

『のび太の結婚前夜』でのしずかちゃんパパの言葉が染みすぎる話

娘がまだ小さかった頃、当時の子守りアイテムといえばビデオ鑑賞。VHSテープのもので、何度も見続けると画像が悪くなる、機嫌が悪くなるとビデオテープがデッキに巻き付いてしまう、今ではお目にかかれないレアなやつ。

亡き息子はトミカとトーマスが大好きだったので、息子にも観てもらうためによく娘にも見せていました。少しづつ大きくなるにつれ、娘の観るものも変わっていき、アンパンマンやドラえもんにシフトしていきました。

その中で『のび太の結婚前夜』という映画がありました。観たことある人もいらっしゃると思いますが、この映画は子どもだけではなく大人も泣けるストーリーです。簡単にあらすじを述べますと、将来本当にしずかちゃんと結婚できるのか不安になったのび太が、タイムマシンで結婚式を確認しにいきますが、間違って式の前日に着いてしまいます。

夜、しずかちゃんの家では、家族お別れパーティーが行われており、その片づけをしているシーン。そこでしずかちゃんが突如「お嫁に行くのをやめる」と言い出し、自分が嫁に行ったら寂しくなるから、自分はまだ両親に何もしてあげていないという理由で。

そこでしずかちゃんのパパがゆっくりこう語ります。

「とんでもない。君はぼくらに素晴らしい贈り物を残していってくれるんだよ。数えきれないほどのね」
さらに「最初の贈り物は君が生まれてきてくれたことだ。午前3時ごろだったよ。
君の産声が天使のラッパみたいに聞こえた。あんな楽しい音楽はきいたことがない」

しずかちゃんが生まれてきた時の様子をこう語ります。
「病院をでたとき、かすかに東の空が白んではいたが、頭の上はまだ一面の星空だった。こんな広い宇宙の片隅に、僕の血をうけついだ生命が今、生まれたんだ。そう思うと、むやみに感動しちゃって。涙がとまらなかったよ」

さらにさらに、
「それからの毎日、楽しかった日、満ち足りた日々の思い出こそ、君からの最高の贈り物だったんだよ。少しぐらい淋しくても、思い出が温めてくれるさ。そんなこと気にかけなくていいんだよ」

このビデオを観た時、亡き息子のことを思い出し、声を出して泣いた記憶があります。今も泣きながらこのnoteを書いています。

悲しくて苦しくて、後悔と懺悔と言葉に言い表すことが難しい感情と日々過ごす中で、確かに息子との楽しかった日々があり、満ち足りた日々がありました。その思い出を懐かしむまでにはいかないけど、最高の贈り物でした。

でもこうやってなんとか生きているのも、息子との温かい思い出があったからだと思っています。その思い出を思い出すだけでまた悲しくはなりますが・・・

この話でもうひとつ、私が心に残っている言葉があります。

それはしずかちゃんがのび太と結婚してうまくやっていけるのか不安だと口にすると、しずかちゃんパパは「のび太を信じなさい」と優しく語りかけます。「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それが一番人間にとって大事なことなんだからね。彼なら、まちがいなく君を幸せにしてくれるとぼくは信じているよ」

自分と同じような経験をした人に寄り添いたいと思っていた私には、ストンと自分の中に落とし込むことができました。人を幸せにすることはできないけど、一緒に悲しむことはできる。人の幸せを願うことはできる。

悲しみの共有は時に自分の経験が鮮明に蘇り苦痛を伴う。しかし私はその作業を一緒に分かち合いたいと考えています。大切な子ども(人)との思い出話を聴かせていただきたいし、一緒に歩んでいきたい。その思いは今もこれからも変わらない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?