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津 キタダヒロヒコ 津へいく と呟けば 鳥がとぶ 鳥肌がたつ 玄関で開く新聞を 雨がぱらぱら濡らし 空は暑く青い 女の顔立ちに 文字の列びに まだらな水が落ち 鼻を衝く 雨の匂ひ 津へいかしてください 津は どこかわからない街の名 しらない女の名 潮の満ち干きのような たしかにだれかに聞いた おれをさそう白い名
10年前に書いた歌。その夜のことがありありと思い出される。 ✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️ キタダヒロヒコ 去年のこんや隅田河畔をさすらひて対岸に盆踊りを見てゐた 浅草の片隅の粋な店にはいりあの夜たべしものの香りよ 三囲神社にふたたびさしかかったときはじめて名前を聞いた気がした スカイツリーの足もとをひとり歩きつつするどき青を引き摺りてゐき