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キタダヒロヒコ詩歌集 156 津


津      キタダヒロヒコ



津へいく
と呟けば
鳥がとぶ
鳥肌がたつ
玄関で開く新聞を
雨がぱらぱら濡らし
空は暑く青い
女の顔立ちに
文字の列びに
まだらな水が落ち
鼻を衝く
雨の匂ひ

津へいかしてください
津は
どこかわからない街の名
しらない女の名
潮の満ち干きのような
たしかにだれかに聞いた
おれをさそう白い名











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