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猫のこと キタダヒロヒコ 避けられなかったのだ 猫を とおくの 奥のほうの 空だけが いつまでも赤く じんわりと残っていた つらい赤さを 見せつけてきた わたしは動転したまま その方角へ走るしかなかった はじめての感触が 右足に残り わたしの悔いは橋にへばりつき 硬直したまま延びきって 怒り わたしを呼んだ 犯罪者が たいがいそうするごとく わたしは 橋へ舞い戻るほか、ありませんでした 橋は すっかり冬の夜でしたが、 そこだけが、 ぼんやり白いよ