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1999年から2003年までの阪神タイガース その⑤

甲子園で一番応援していて快感な場所はどこかって??
恐らく9割以上のタイガースファンはライトスタンドと答えるだろう。

答えは✖️だ。

僕の記憶で一番凄かったのはレフトのバックスクリーン寄り。
SSK・関西ペイントだ。

当時のレフトスタンドでは色んな光景が見られた。
レフトにも応援団は存在し、ビジターの応援団との試合前の挨拶や交流。
また上段は自由席だった為当日券に並び、開門の際は席を確保する為ダッシュが必要だった。
当日券は朝から並んでる人が沢山いるんだけど、普段何をやっているのか分からない連中ばかりだった。
自由席は1400円とライトよりも少し安い。

SSK・関西ペイントはすぐに埋まる。
ほぼ「常連」だ。
常連同士試合前から気合が入っている。

ライトスタンドでは見られない光景も見られた。

まず、開門して席を確保ししばらくするとジャイアンツの練習時間が始まる。
レフトの最前列からアップしている選手への100人規模でのヤジがスタート。

一番声が通るのがアイパーだ。
「お〜い!!!ちょっと長嶋呼んできてくれ!!!話があるんや!!!」
「後藤!今日はどこ連れてってくれるんや!!!」
「上原〜〜〜笑うなキモいんじゃお前のハグキは!!!」
「芝生が汚れるから走るな〜〜!!」
「阿部〜!!巨人に入って〜 最高ですか〜??」常連「最低で〜す!!!」

ヘッドコーチがキレている。
後藤も上原もみんなブチキレ。

松井がこちらへやってくると
「松井〜〜!すまん!!今日は打たんといてくれ!!頼む!!弱いねんうち!困るんやぁ!」
100人以上の常連とアイパー軍団がみんな松井に声援を送りお辞儀する。

この瞬間甲子園のレフトではいつも大きな笑いが起こった。
ジャイアンツの選手もみんな笑っている。

2001年までの巨人戦の楽しみの一つ。
最高の茶番だった。

暗黒時代の阪神ファンはみんな、巨人が好きだった。
恨みや憎しみは一周も二周もすると「好き」に変わる。
本気で巨人を恨んでいたけど、巨人戦が本当に楽しみで楽しみで仕方なかった。

さて、アップも終わり間も無く試合。応援は強烈だ。
まず、試合前のスピードガンコンテストから盛り上がる。
ちびっ子や女の子がほぼノーバウンドで投げると
「やるやんけ!!今日先発でいけ!!」
読売新聞社の記者が始球式のゲストで呼ばれるととてつもなく響く帰れコール。
「ここどこや思ってんのやコラァ!!」

替え歌・ヤジ・元木の応援・チャンスマーチ・巨人ファンへ喧嘩を売る。
ジャイアンツのエラーがしたら物凄い拍手とコールが起こる。
もう、やりたい放題だ。

阪神の攻撃の際は総立ちで物凄い声量だ。
坪井のファンファーレで感動した覚えがある。
あの一体感を見ていると、
ライトスタンドよりもはるかに声が出ていたような気がする。

巨人戦等の人気カードでSSKや関西ペイントで応援するのは大変だった。
開門ダッシュがあるからね。
でも、朝から苦労して当日券を手に入れ開門ダッシュに試合終了までフル応援。
勝利すると21号門前から阪神電車、そしてホワイティうめだにて解散。
今思うと、物凄い体力だった。
一試合終えると、何kgか痩せていた気がする。
高校生の僕はいつもガリガリだった。

試合前のヤジの際、
清原がレフトにくると阪神ファン、巨人ファンと共に大きな拍手が沸き起こる。

「キヨ、来年は阪神来てくれるよな!?」
「おう!ええよ!!待っとけ!!」

このやりとりは翌日のスポーツ新聞に大きく取り上げられた。
キヨは巨人に残ったけど、阪神ファンと大の仲良しだった。

横浜の応援団の団長さんと握手をして写真を撮ってもらったり、
SSKの知らないおじさんにカレーを奢ってもらったり。
二次会で広島ファンを胴上げして緒方の応援歌と六甲おろしを一緒に歌った。
1400円で思いっきり楽しませてくれた思い出のレフトスタンド。

今はもう、ちょっと違うんだろうね。

続く

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