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統計力学

 物理の勉強をしていると力学、電磁気学、解析力学、熱力学と進むと、量子力学とともに現れる分野が統計力学です。ちなみに大学の授業の進行度合いが僕の場合はこの順番でした。
 統計力学は、熱力学との比較で考えるとわかりやすいです。熱力学は、マクロな視点から見た理論の詰まった学問でして、統計力学はミクロな視点から見た理論が詰まった学問です。
 例えば、熱力学は圧力を考えてみると理想気体の状態方程式から体積に反比例し、粒子数と温度に比例するというように物質を電子顕微鏡($${10^-6}$$程度の解像度)で見るのではなく、その物質の定性的な部分のみを取り出し議論する学問であるのです。これに対して、統計力学は物質を原子や分子レベルのミクロな粒子の集まりとして扱うという前提からスタートして、「エントロピーとは?」と聞かれると、粒子の取りうる位置と運動量の合計である状態数の自然対数に比例する変数であるという感じで答えるのです。
 ここで脱線すると、状態数とは1粒子を扱う場合は位相空間という位置と運動量の積を空間座標と運動量空間座標について全空間で積分したものをプランク定数の3乗で割ることで算出される個数の単位を持つ定数です(プランク定数は位置と運動量の積の次元を持つ)。
 つまり、量子力学によれば、プランク定数の3乗に1状態が入ると考えて位相空間(横軸位置と縦軸運動量の空間)にいくつ状態があるかを数えるのです。量子力学では、ハイゼンベルグの不確定性原理より(位置)×(運動量)>=h(プランク定数)と考えられる。
 このように粒子のミクロな性質からスタートするような議論は主に統計力学の分野にあるといえるでしょう。
 状態数はまた、状態密度をエネルギー空間もしくは波数もしくは運動量空間で積分したものとも言えます。この状態密度という変数は、Ωで一般的にあらわされます。状態密度Ωは変数がエネルギーの場合は、エネルギー空間における粒子数分布をつかい、この粒子数分布と状態密度の積をエネルギー空間で積分することで平均粒子数の算出を行うことができます。
 平均の量を計算するときはこの状態数に、平均したい変数のエネルギーにおける分布を積算することで積分して得ることができます。
 また、エントロピーは分配関数という確率の合計のような値がわかればヘルムホルツの自由エネルギーを経由して計算できます。
 ここで、分配関数というのはある状態を持つ確率の合計のこと。この確率は状態数に比例しているが規格化条件が確率には課されるので確率の合計として分母に分配関数を使うのである。分子はある状態の確率である。この確率はちなみにエントロピーをボルツマン定数で割ったものを行くすぽーえねんシャルの方に乗せた値に比例する。なぜなら、エントロピーは状態数の自然対数に比例するからでその係数はボルツマン定数だからである。

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