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教科書をちょっぴり変える算数授業①

 5回にわたり、2学期の算数科授業について書いてみます。あまり大げさなことをするわけではなく、教科書をちょっぴりかえる。それがキーワードです。

1 禁句にしている言葉


 算数の授業作りにあたって、禁句にしている言葉があります。それは「計算してみましょう。」という言葉です。私から「計算してみましょう」「やってみましょう」「解いてみましょう」という言葉が無くても、子どもたちから「計算していい?」「早く解かせて。」「やってみたい。」といった言葉が出てくるようにしたいのです。
 
 ただ、私は算数の授業ばかりしているわけではありません。理科と外国語以外は自分が授業します。教科書を「ちょっぴり」変えるだけでなんとか禁句を使わずにできないか、そんなことを考えながら日々授業作りをしています。

2 割り算の導入

(1)教科書では・・・

 80円のお小遣いを持った子が、8円の飴玉を買います。その場合の式と答えが問われます。その後20円の飴を買った場合(二桁÷二桁の割り算)へと話がうつり「どうやって考えたらいいのだろう。」とふき出しが出てきます。

(2)ちょっぴりアレンジ~どっち買いたい?~

 導入で、2枚の飴玉(8円と20円)を提示。「どっちが買いたい?」と尋ねます。「小さい方。」「大きい方。」と両方の意見が出てきます。
 そのうち「何円か分からない!」という声があがったので、値段を提示。小さい方に8円、大きい方に20円と書き加えます。今度は「お小遣いが分からない!」というので、80円と伝えます。
 この瞬間、子どもたちは直感的な計算をしたのか、「8円の飴は10!」「20円の飴玉は4!」と。「どうしてわかったの?」と尋ねると「計算!」と。「だって…。」と何やら話そうとしたので、一旦その計算をノートに書かせることに。

(3)かけ算?わり算?

 あれほど意気揚々に話そうとしていた子どもたちですが、「えっ?」「どうやるの」という声があがります。「何算になるの?」と尋ねるとかけ算・わり算両方出てきます。「どっちの計算?」という問いが子どもたちの頭に浮かんでいるようです。

 かけ算派から聞くと、「『8✕10=80』でお小遣いになる。」という論理。一方わり算の子からは「先に出したらおかしい。」という声が。「先に出したらおかしいってどういうこと?」と問い返すと、「何個買うかわからないんだから。もしかしたら2個もしれない。」と具体的に説明。かけ算派の子も納得し、もらったお小遣いを一個の値段で割った、わり算のほうが良いという結論になりました。

(4)かけ算の考え方はダメなのかな?

 せっかく出てきた「かけ算」。「かけ算」ってだめかな?というと、「確かめに使える。」という声が。「確かめ」はこの単元の知識・技能として大切な部分。「かけ算派」の子どもたちのおかげで先の時間の内容もおさえることができました。

(5)80÷20に

 わり算で求めればいいということで、再び子どもたちに任せる時間。多くは80÷20をスタートさせていました。見ているとあるグループで
80÷20=4 
とする子と 
80÷20=40
とする子でもめています。「4」とする子は「40」という子に対して「違うよ。だって…。」といって図を示しながら話しています。面白そうなので、ここでの話題を全体に投げかけました。とここでチャイム。2時間目は「80÷20=40?それとも80÷20=4?」からスタートです。

3 おわりに

 今日は、教科書上2時間分になりそうな問題提示から始めました。それが「どっちが買いたい?」です。選択があるとこちらが黙っていても子どもたちは勝手に予想したり勝手に計算したりします。禁句を使わずに済みました(笑)。

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