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グラ音楽室第一回「君の知らない物語」

はじめに


はい、始まりました。不定期に更新予定のグラ音楽室。
室長は私、グラヴィティと申します。
普段はVOCALOIDで曲を作ったり、最近は楽曲提供にも力を入れております。
ここでは、言わずとしれた名曲についてのお話やオリジナルソングについてのお話をしていく記事にしたいと思います。
そんなわけで気が向いた方はぜひ、ご覧いただければと思います。


「君の知らない物語」
さて、第一回のテーマはsupercellさんの「君の知らない物語」について取り上げたいと思います。
この曲、グラヴィティが鏡音リンに歌わせているのでその動画も合わせてご覧ください。
https://youtu.be/cJOiQ8i_QnU


この曲はメロディから伴奏、歌詞まで非常に素晴らしい曲です。
高2のときに初めて聞いたのですが、あのときの衝撃は今でも覚えています。
ピアノがメインの伴奏に、一夏の淡い恋を描いた歌詞。曲の世界観が一瞬にて構築することができますね。
作詞作曲のryoさんは「メルト」などのボカロ曲も作っている超有名クリエイター。こんなヒット曲連発させてみたいものです。

青春を思い起こす音

この曲、キレイなのにどこか青春らしさがあるんですよね。
例えばAメロの伴奏とか、合唱曲の伴奏にありそうな感じしませんか?
若松歓(「君とみた海」や「輝くために」を書いた人)とかが好きそうな感じなんですよね

そして、サビ。
音楽を作る際にコード進行と呼ばれる和音の組み合わせが大事なのですが、この曲のサビのコード進行、よく考えられてます。ディグリで表すなら
I V IV VI V/VII I IVm Vsus4 V I/III
IVm Vsus4 Vの流れが素晴らすぎるんですよ。
わかりやすく言うならば、切ない音で油断させながらもその後に叶うのでは…という期待感、希望感で聞き手の感情を高まらせていくコード進行なんです。
この流れが一秒で流れちゃうので、聞き手としては理解できません。びっくり
最後もキレイなオンコードで締めているので、余韻に浸ることもできるのです。

回想型で、更に切なく、きれいに。

歌詞は回想する形で描かれています。

いつも通りのある日のこと
君は突然立ち上がり言った
「今夜、星を見に行こう」
「たまにはいいこと言うんだね」
なんてみんなして言って笑った
明かりもない道で
バカみたいにはしゃいで歩いた
抱え込んだ孤独や不安に押しつぶされないように

supercell「君の知らない物語」

数人の仲良しグループで夏の星を見よう、と楽しそうなシーンが描かれてます。言った、笑った、歩いた、と過去形の動詞を使っているので、回想シーンであることが伺えます。

真っ暗な世界から見上げた
夜空は星が降るようで
いつからだろう
君のことを追いかける私がいた
どうかお願い
驚かないで聞いてよ
私のこの想いを

ここでも過去形のフレーズが多用されてます。
「君のことを追いかける私がいた」からこのときは君に対して好きというはっきりした感情ではなかったように解釈できます。つまりここまでは恋の始まりを描いていることになるのです。

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指差す夏の大三角
覚えて空を見る
やっと見つけた織姫様
だけどどこだろう彦星様
これじゃひとりぼっち

有名な2番の歌詞。アニメではここが使われてましたよね。
ここで季節感を表現しています。
織姫に自分を重ね合わせ、年に一度しか会えない彦星様(君)を見つけられず、その距離感を表現しています。

楽しげな一つ隣の君
私は何も言えなくて

切ないです。切なくて胸が痛いです。
ここでさらに君と私の間に誰かいることを示しています。
織姫様彦星様の流れから止めの一撃で更に距離があることを示しているのです。
(天の川をなぞらえているのかも?)

本当はずっと君のことを
どこかでわかっていた
見つかったって
届きはしない
だめだよ 泣かないで
そう言い聞かせた

追いかけてたからこそ、わかっていたのです。
この想いはかなわないと。
彦星様を見つけたとしても、この想いを届けられぬと。
でも、心配させたくない。だから泣かない。
そんな、健気で切ない気持ちが伝わる2番のサビでした。

強がる私は臆病で
興味がないようなフリをしてた
だけど
胸を指す痛みは増してく
ああそうか 好きになるって
こういう事なんだね

なぜなんですかね。高校生の時って恋に興味がないようなフリをする人多いですよね。
この主人公もその一人でした。
しかし、ここに来て、初めて気付いたのです。
「君が好き」なんだと。
ここも、地味に共感されやすいな、と思います。

どうしたい? 言ってごらん
心の声がする
君の隣がいい
真実は残酷だ

君の隣に立ちたい。でも、君を追いかけてたからこそわかっていたのです。
君の隣にはもう別の人がいることを。
(君と私の間にいた人)
切ないよぉ、胸が痛いよぉ

言わなかった
言えなかった
二度と戻れない
あの夏の日
きらめく星
今でも思い出せるよ
笑った顔も
怒った顔も
大好きでした
おかしいよね
わかってたのに
君の知らない私だけの秘密
夜を越えて
遠い思い出の君が
指を差す
無邪気な声で

ここで現代に戻されます。
あの日と同じような夏の夜、星を見ながら思い出してたことがここで表現されます。
この気持ちは、この想いは、あの日の記憶は昨日のことように鮮明に覚えています。
そして、大好きだったのに届けることができなかった淡くて切ない恋を今でも思い出している。
そんな、切ない恋の物語なのです。

最後に

「君の知らない物語」はスピード感のある明るめな曲調に切なく淡い恋の歌詞が載せられていたのです。
失恋と聞くと暗い曲のイメージが多いですが、supercellさんは見事に違和感なくこの曲を作ったのです。
以外と歌詞をきちんと聞いたことがない人も多いのでは?
ぜひ、本家様もグラヴィティが歌わせたのも聞いて、皆さんそれぞれの青春時代の恋を思い出してみてはいかがでしょうか。

それでは。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
また100年後お会いしましょう。

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