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第36話 若かりし頃の無謀 生死をかけた想い出。

若い時は誰もが一度はするものであろう。

あれは確か……私が15歳の頃、夏休みに幼馴染の家へ遊びに行っていた。
わりと大きな島で、よく漁師さんが仕掛けた網の、魚やカニ等を盗んで食べていた。夏休みを通して何度かそれを行った。

小島があって、そこに行って盗んだモノを焼いて食べていた。
その海域は波の流れが非常に強くて、ボートで行くのも大変だった。

ある日、いつも一緒に行っていた三歳くらい上の幼馴染と、私と同級生の幼馴染で、一緒に行こうと誘ったが、来なかった。私は知らなかったが、どうやら台風が来ていたらしく、そしてそれは後で知る事になった。

いつものように、色々大漁で島を目指していたが、並みがいつもよりも高波になって来ていた。漁師の船が通りかかり、帰るから乗るか? と聞かれたらしいが、どうやら断わったらしい。

いつも行っていた小島も次第に波に飲まれていき、カキの殻でボートも破裂し、最後までいた島がついに沈む事態になった。

その頃、島民は集まっていて、死ぬと皆が騒いでいたらしい。
台風8号でその前後の年の中でも、最大級の台風だった。島が完全に沈む前に全てのモノを捨てて、海流が滅茶苦茶速い海に飛び込んで、ひらすら泳いだ。少しでも泳ごうとしなければ、直ぐに流されてしまう場所で、台風だから助かったのか、それほど大きくは無いが、サメがいる場所だった。

途中で片足がつっても、私は痛みを堪えて泳ぎまくった。やや離れた前方に幼馴染の人が泳いでいたが、自分の事だけで必死だった。私はもう片方の足もつり、両足をつった状態で泳ぎ続けてカキがそこら中にある中を歩くとカキの殻が、私の体と足や腕を切りまくり、体中、血だらけだったが、それも気にならないくらいの、波の高さだった。前で泳いでいる彼の姿が波で消されるほどの高い波で、島民は絶対に助からないと話していたらしい。

幼馴染も片足がつったと話していた。泳ぎは達者なほうだったが、それ以後、行く事は一度も無かった。自然の恐ろしさを知った。事が大きいほど覚えているもので、コレも忘れられない一つの事件であった。

良い子は真似しないように! というか帰ったら同級生の幼馴染に台風が来てる中、よく行ったねと言われて、私は、来てたんかい! と思って年上の幼馴染に聞いたら、台風くらい大丈夫かなと思ったと言った。

私の15歳の頃の話でも、鮮明に覚えているのは、衝撃が私の中で生き続けている証拠だろう。

台風の日には海流の激しい場所へ泳ぎに行ってはいけないというお話。

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