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ザ・エージェントより 彼の真意 

誰もが違う映画やドラマの好みの違いはある。
その中でも一番飽きにくいものは何だろうか?

私の場合はヒューマンドラマ的な要素も含まれた
映画やドラマが一番飽きない。時代にあまり
左右されないものが多いからだとも言える。

当然、時代背景は変わるが、人間性が大きく
変わる事が無いからである。

アクション映画やファンタジー映画も悪くはない
のだが、ヒューマン映画との大きな差は、
ストーリーの濃厚さになる。

アクション映画等の場合はアクションが主体に
なる為、ストーリー的には濃くはないものが
多い。こうは言っているが、私はアクション映画
も大好きで、購入している映画も割合的には多い。

ふと見たくなる映画は、私の心が弱った時や、
信じていたものが崩壊した時に映画を見て、
その大切な想いを、心を取り戻す。

1997年のトムクルーズ主演「ザ・エージェント」
と言う映画があった。
私はこの映画がとても好きでAmazonでも購入
している。

トムクルーズの役はスポーツ選手のエージェント
として、スポーツチームに選手を高額で売り込む
仕事をしていた。

それは高額だからこそ非常に危険な状況になる事
も多々あるものであった。

ある日、いつものように選手が倒れ、病院に搬送
され、意識を失ったが目が覚めた時に、医者に
自分の名前を聞かれたが、なかなか思い出せなかった。
隣に寄り添う妻が、彼の名前を小さな声で言うが、
それでもなかなか言葉に出来ずにいた。

その後、妻と子を思い出したが、トムクルーズ演じる
ジェリー・マグワイアを見ても暫く黙った後に、
自分のエージェントだと思い出した。
首や脳を痛めていても、選手であるスティーブが
最初に言葉にしたのは、「週末の試合に出る」だった。
「出場率65%だとボーナスが出る。出場しなきゃ」と
スティーブは言った。
その言葉の先にいるジェリーに、彼の子供は冷たい目
を向けた。

ジェリーはスティーブが意識を取り戻したので、
彼のまだ幼い子供に、「ジェシー、じゃあまた」と
声をかけて帰ろうとした時、
「マグワイアさん」と
ジェシーに呼び止められた。そしてジェシーは、
「パパは四回目の脳震とうだよ」と言ったが、

「待て」とジェリーは言って、携帯だけでは
とても手が足りない為、連絡だけの場合は
ポケベルを使っていた。それを見ながら彼は
ジェシーに話し始めた。

「君のパパを止めるには、デッカい戦車が必要だ。
スーパー・スペース砲を五基持ってこなきゃ」
と彼は連絡を確認した後に、ジェシーを見て笑みを
浮かべて言った。
「そうだろ?」とジェリーは子供に二回問いかけた。
その時のジェリーの顏は満面の笑みだった。

ジェシーは一言だけジェリーに言い放った。
「死んじまえ!」
子供は父の元に戻っていく途中、静かな病院に木霊
するような微かな泣き声が響きながら、
一度振り返ると、ジェリーに中指を立てて再び、
ジェリーに背中を向けて歩いて行った。

ジェリー・マグワイアはこの時、自分自身を、
「僕は背広を着た人食い鮫?」と自問自答した。
笑顔は消え、彼は子供の背中をずっと見つめながら
そう思っていた。

エージェントは出来るだけ選手の要望通りの額で
選手を売り込む。売り込まれたほうは仕方なく要求
を飲む。
「君らが選手のサラリーをあんなに釣り上げたんだ」
と言う声が彼の頭の中で何度も響き渡った。

マイアミの営業会議をきっかけに、
彼は本来は違うべきだと言う想いが、限界に達した。
それはジェシーに「死んじまえ!」と言われた事や
医者が名前を聞いても直ぐに答えられない様子を、
思い出していた。

彼の中で絶え間なく、声が聞こえた。
「お前は最低だ」と、しかし、それは違うと気づいた。
「いや、そうじゃない。汚い仕事がイヤになった」
のだと気がついた。

誰もがお金の事しか考えず、それは選手の要望であり、
エージェントとしても%が給料にもなる世界で、
お金よりも大事なものがある事がある事に対して、
「だが誰が耳を貸す?」と彼は思った。

そしてジェリー・マグワイアは突然、思い立った。

それは思いがけず、いきなり起こった。
彼はこの汚い業界に対する提案書が頭に浮かんだ。

ただのメモでは無く、会社の未来を展望した
提案書だった。
彼は突然のインスピレーションを逃さなかった。

1ページのはずが、25ページにまで心の叫びを
書き続けた。心とは別に、頭に父親の顏が蘇った。

大学を出て、この仕事を選んだ時の夢は、
(僕の選手のプレーで、スタジアムに歓声が沸く。
怪我をした時も選手を守り抜く。最近はそれが
忘れられてる)

彼は作家でもないのに書き続けた。

スポーツ・エージェントの元祖である、
故人ディッキー・フォックスいわく、
「この仕事の原点は選手との人間関係だ」

答えはすぐに見えた。
クライアントを減らすことによって、
一人一人の選手に対して真摯しんしに向き合う事。

金額を低くして、親身な配慮をし、
自分とゲームを大切にする。人間らしい生き方を。

彼の頭を一瞬、こんなに本心をさらけ出しても?と
思ったが、(いいさ、構うものか)と彼は書き続けた。

これが本当の僕、偽りを捨てた僕だ。と書き終わり、
真夜中の大雨の中、彼は傘もささずに、しっかりと
したものにする為、社員全員分の提案書を作りに、
110部のコピーと、カバーを作るために専門店
まで駆けて行った。

タイトルは「皆が考えてて口にしないこと」
つまりはこの業界の未来の事であった。

店の店員にカバーを作ってもらい、
「勇気がある」と言われた。

その店員の表情は私個人的な意見ではあるが、
実に良い顏をしていた。感心する眼差しと、
心から本当に「勇気がある」と言っている
顔つきだった。
そして「男は勝負さ」と言われた。
この時もジェリーに共感する顏をしていた。

彼は自分では出来ないからこそ、
ジェリーに対して言ったのだと思った。

最初の方に後に大きく絡む要因となる
部分を一部カットしたが、そうした方が
良いと思い、話が伝わりやすいよう徐々に
出して行こうと思っています。

次も続きを書きたいと思っています。
ここまでで8分29秒のストーリーでした。





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