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「俺を守れ!!」~第四話

ハンスは使い捨て同様の元ケイニーの手下
12名を引き連れて、リカルドの命令でソラノの
偵察部隊を出来れば一人は活かして、
無理なら皆殺しにする為、ケイニーのアジト周辺
を固めていた。
同じく正式構成員のヘンリーの手下と応戦する
構えを見せた。ヘンリーは既にハンスから連絡を
受けていたため、乗って来た防弾仕様の車を
ビルの周りに配備して、防戦に有利な状況を
作り出していた。

ハンスとヘンリーは自分たちがいる事を知らない
事を知った。仮に知っていれば、ビルから離れた
場所の土煙が舞う所に下りれば狙い撃ちされる事
は無いが、アスファルトの地面では、煙幕効果は
ゼロに等しいものだった。それが油断から来る
ものか、完全にナメきっているものか、で勝負の
分かれ目になると二人は身構えた。

二人はそれぞれの手下を防弾仕様車の後ろにつか
せて、新入りの奴等は自分たちの車の陰につかせ
た。当然、防弾車両よりも前方に移動させた。
裏切れば後方から銃弾の餌食になる事は、
もう十分リカルドの事で理解していた。

ヘリは上空で一定の位置まで来ると、ロープが
投下されて、隊長らしき人物が手慣れた様子で、
足をロープに絡めて、次々と降下をし始めた。

二人は好機とばかりに下りてくる隊員たちに
銃弾を浴びせる攻撃の合図を出した。
左右にわかれてからの銃撃は、隊員たちが地に
足をつける前にバタバタと空中から落ちていった。
盾代わりの連中も、初めはソラノの軍隊並みの隊員
たちを恐れていたが、予想外な圧倒的に有利な状況で
少しでも認めてもらうために、上方のヘリに向かって
撃ち続けた。ヘリからもチェーンガンの応酬で前方に
いるケイニーの手下だった者たちは、車の燃料タンク
を狙われ、大きな爆発音と共に吹き飛ばされた。

偵察部隊員は全滅し、チェーンガンを撃ち続けながら
ヘリは飛び去って行った。あとに残ったのはケイニー
の元手下たちの焼け焦げた死体や、手や足、頭部等が
散乱していたが、リカルドの手下たちは無傷であった。
ハンスはすぐに状況報告を入れた。

「ああ、分かった。引き上げの準備を始めろ」
その会話でリカルドと共にいた配下たちは、
ソラノの部隊を撃退させた事を知った。

「ボス。ケイニーのアジトにソラノの部隊が来ました
が、隊員は8人だけだったようで、ただの偵察部隊だった
ようです。ケイニーの部下は我々の手下になりました
が、攻防戦で全滅しました」
リカルドは報告をして、その後の指示をあおいだ。
「はい。分かりました。では夜までには戻ります」

彼はボスとの会話を終えて、再び電話をかけた。
「ケイニーの手下に生き残りはいないのか確認しろ。
そうだ、よく調べろ。ボスの指示を受けたから
しっかり調べて、連絡しろ」
電話を切ると、今度は部屋にいる15名の手下に
銀行の記録や、不正取引の帳簿を探すよう命じた。
三名一組で迅速にしっかり調べるよう重ねて言った。

彼等はそれぞれがビルの各部屋を調べに行った。
ハンスとヘンリーにはバレないように、建物にある
全ての部屋に、仲間にも秘密に盗聴器を仕掛けて
くるよう命じた。
リカルドはケイニーの机に腰を下ろして、葉巻の箱
を開けると、キューバ産のプレミアムシガーを手に
取って、一服ふかして待つ事にした。


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