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舞台『カラ降るワンダフル!』観劇レポ②

ストーリー&演出編
※すごくネタバレしてます。

コメディ作品ということで、基本明るくて面白かったんですが、ストーリーは結構心にくるものがありました。

「違う世界に逃げてしまいたい」「現実から目を背けたい」と思うことは誰にでもある。
だけど、自分の心次第で世界は色を変える。
そして、必ず誰かが見守ってくれている(もしいなくても、僕たちが応援してるよ!)
そんなメッセージがあるように感じました。

アリスの気持ちに共感して、アリスに向けられた励ましのセリフが自分自身に向けられているかのように感じて、後半涙が止まらなかったです。

マスクの中が大洪水でした。

それから、現実世界と不思議の国の関係性が面白かったです。
不思議の国の住人は、現実世界にいる人ばかりなんですよね。
辛い現実から逃げ出した主人公は、アリスに。
学校の友達は、白ウサギ・三月ウサギ・ハートのジャックに。
先生はイモムシに。
ペットの猫は眠りネズミに。
そして、主人公が告白した女の子はチェシャ猫に。

アリスがチェシャ猫をやたらと好き避けしてるのって、最初は大好きな北斗先輩が演じてるからかな?って思ってたんですけど。
それにしても、演技中にそこまで表に出すか?って思ってたら、そういうことだったのか〜と納得。
友也くんと北斗先輩が演じてるっていう、原作の関係性を知ってる人にはミスリードだったわけですね。
チェシャ猫がアリスの反応にいちいち傷ついてたのも、女の子の気持ちを表してたんだろうな。

そしてここで気づいたのが、帽子屋だけが戻るべき現実世界がないということ。
そう考えると、少し寂しい気もする。
きっと帽子屋には、現実世界から迷い込んできた人々をハッピーエンドへと導き、元の世界に戻すという役割があるんだと思う。
彼が読んでいた小説のひとつひとつが人々の人生で、彼は途切れそうな小説の続きを書いて繋げているにすぎないのではないか。
そして、繋がった続きのページは、本人が自分の力で書き進めていく。
そんなお手伝いをしている、少し寂しくも、優しくあたたかいキャラクターだったように思います。

実際、私にとってこの舞台はまさにそうでした。しんどい現実をなんとか乗り切って、舞台という非日常に触れに来ている。
本当はずっとここにいたい。こんな日々が続いてほしい。
だけど、舞台に励まされ、勇気をもらい、なんとかまた月曜日からも頑張ろうと思わせてくれた。
観客はみんなアリスで、この舞台こそが不思議の国であり、帽子屋だったんじゃないかと思います。

ストーリーの感想に熱が入りすぎましたけど、演出も好きなところがたくさんあったので書き留めておきます。

まず、本棚の本を出し入れするシーン。本棚は布のイラストなのにどうしてるのかな?と思ったんですが、布に切れ目が入っていて、そこから後ろの人が本を受け渡ししていたようです。簡単な仕掛けだけど見てる側は面白い。

それから、アリスが小さくなるシーン。背景や小道具を大きくしたりするのかな?と思ったら、遠近法や影を上手く利用して、アリスの影だけ小さく映るようにして表現していたのが驚きでした。その手があったか!という感じ。
そこ以外にも、影・シルエットを使った演出が効果的に使われていて、アリスの世界観にもマッチしていてとても良かったです。

あと、プロジェクションマッピングが駆使されていたところ。文字が出ることでわかりやすさと面白さが格段にアップするシーンもあるし、不思議な世界観を表現するのにも上手く使われていて素敵でした。

衣装も素敵なの多かったなぁ…。しっぽとか、後ろ姿も可愛い服が多かったので、じっくり見たい。
イモムシさんのマントの柄とか、ジャックや帽子屋の服の生地感とか、アリスのスカートのつくりとかも。これまでのものも含めて、衣装BOOK出ないかな。
早着替えも多かった気がするけど、友也くんとかどうやってたんだろう?髪の長さも変わるのに。

もう、見たいところがたくさんありすぎて目が足りなかった…。

最後の方、涙でぼやけてたら勿体無い!と思って、なんとか涙を堪えて観てたんですけど、
終わってからお手洗いに行って鏡見たら、目が赤くバキバキに開いててびっくりした(笑)

怖い目で観ててすみません…。

あまり舞台を観る機会がないので、他がどうとかわからないんですが、私にとっては最高の舞台だったし、大好きな作品になりました。

円盤出たら買おう。

レポおしまい。

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