【超短編小説】 ループしているなら
「私達はループしているの」
有希子は静かに言った。
「どういうことなんだ」
「私達はもう何回も会っているのよ」
「そんなこと、あるはずがないじゃないか」と私は困惑した。
「難しく考えても仕方がないことなの。私達はずっと同じことを繰り返している」
「つまり、今日、出会ったのも偶然ではないと言うんだね」
「そう、たまたまじゃない。私達は運命に導かれている。ちょっと出掛けてくるわ」
「どこに行くんだ、有希子。待ってくれ、まだ話したいことがあるんだ」
私は、そこで目が覚めた。
有希子は居なかった。
でも、また会える気がした。
彼女の言葉が本当なら、彼女はまた私に会いに来るだろう。
ループしているなら(完)