【超短編小説】 言葉箱
小さな箱を空に投げた。
すると、箱に収まった数えきれないほどの言葉があふれ出した。
それは、僕がいつか伝えるはずだった言葉のカケラたちだ。
言葉たちはキラキラと輝き、届けたかった人の元へと飛んでいく。
伝えたかったこと。
伝えようと思ったこと。
そして、本当に言いたかったこと。
返事はすぐには返って来ないだろう。
でも、思いが伝わったなら、それでいい。
箱はすべての言葉を届け終えると、静かに落下した。
「また、少しずつ収めていこう」
僕は箱を受け止め、星のように流れる言葉たちを
いつまでも見つめていた(完)