【超短編小説】 心の中
小学3年生の僕は、相手の心が分かる。
こう言うと怪しく聞こえるかもしれない。
でも、本当だ。
だって、僕は相手の心の中に入ることができるからだ。
入り方はとても簡単。
気持ちを知りたい相手に「あっ」と言ってもらうだけ。
相手が「あっ」と言った瞬間に、僕は心の中に入って、相手が何を考えているかを知ることができるのだ。
ただし、なぜか分からないけど、1日に3回しか使えない。
たぶんそれ以上は知り過ぎると良くないのだろう。
この方法で相手の思いを知ることができるようになった。
たまに知りたくなかった気持ちが分かった時は、ちょっと悲しい。
でも、相手と気持ちが通じた時は嬉しくなる。
ある本で読んだんだけど、この能力は大人になるにつれて消失するらしい。
いつまで使えるか分からないけど、この能力が使える間は大事に使いたいと思うんだ(完)