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完璧な日に

2021年から聴いている
Uniolla (ユニオラ)のライブ初参戦。
雨の土曜日、午後には晴れて夕焼けが見えた。
オールスタンディングのライブは2度目で、まだ初心者だ。
ライブハウスの造りにドキドキしながら階段を降りる。

ツーマンライブは初めてだった。
先に演奏したのは
Living Rita(リビングリタ)
好みが固まった自分の範囲では手を伸ばすことのない新しいバンドを聴けるのはいい。
天使のようにかわいいボーカル、
タカハシマイさんはギターを抱えてシンセサイザーも演奏するマルチ女子だった。
ベースの武井優心(タケイマサミ)さんの汗が光る。
至近距離の爆音ライブ。
バンドの熱い演奏に目も耳も釘付けになった。

セットチェンジ。

青い光の中でリビングリタのセットをすべて撤収して、ユニオラのセットにする。
そうか、全部変えるのか。
当たり前のことが新鮮な箱ライブ初心者である。
ドリンクはバーカウンターの近くの壁にくっついて一気飲みしてきた。並々注がれたコップを持って観客スペースに突入できなかった。
ライブハウスの動線というかしっくりくる手順がまだよくわからない。

セットチェンジを夢中になって見ていたらサウンドチェックが始まった。
えーーーーっ!
ギターの深沼さんが目の前にいる!
本人だよね?
老眼オカンアイ全開で深沼さんを見る。
いつからそこにいらしたのか。
よそに夢中で見逃していた自分の使えなさにショック。
でもショックを受けている場合じゃない。
この至近距離でこれから始まるユニオラのライブ。
期待が高まる。

クミちゃん(ボーカルはラブサイケデリコのKUMIさんです)の声が好きで、ずっと聴いていたい。
バンドの演奏で別の世界に連れて行ってくれる。
もっと続けばいいのにと思っても
あっという間に終わってしまう。
最良ライブはあっちゅーまに終了する。

別の世界に連れてってもらったのは本日2度目。
午前中に、市民ホールで知り合いの大学生のピアノ演奏を聴いてきた。
彼は中2でピアノを始めた。
先生に教わったのは一年だけで、その後独学してきた。

小さい頃にピアノを習ったことはなく、おうちにもピアノはなかった。
ピアノ教室に行きたいと彼がママに言ったのは部活真っ盛りの中2の時で、息子らのスポーツに力を入れていたママは「びっくりしたわ」と言っていた。
そこから七年あまり。
彼はショパンの幻想即興曲を演奏した。
誰かの発表会やピアノコンサートで何度も聴いたことがある超有名な曲だ。
ホール前方の席に座っているママと弟くんの姿が見える。
彼のママと私は子育ての悩みを共有する時期もあった。
彼が懸命に弾いている。
たったひとりで練習してきたんだ。
号泣だ。
人の成長に泣く。
彼のショパンに聴き入った。
大号泣の手前で背筋を伸ばした。
観客の中に見知った顔もチラホラ見える。
ここで大号泣だと
「あんた誰?」だ。
何者でもない。ただの知り合い。

終了後、いい演奏を聴かせてもらったとお礼を言ったら、彼はスタンウェイピアノの弾き心地について教えてくれた。

いいピアノだったかもしれないけど、それ以上の感動があったよ。

彼の世界に連れていってもらったのだ。

別の世界に連れていってくれる演奏を一日に2度も聴いてしまった。
贅沢な日だった。
ユニオラのアンコール曲は

A Perfect Day

どんな一日でもいいことはある。
そう思わせてくれる
完璧な一日だった。


Living Rita
 武井優心   Ba.Vo
 タカハシマイ Vo.Gu.Syn

Uniolla
 KUMI       Vo
 深沼元昭 Gu
 林幸治  Ba
 岩中英明 Dr

Uniolla presents
“A Perfect Day Vol.1”
@代官山SPACE ODD
2024/3/23


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