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母はウザし

今年の3月は突風が吹く日が多い。
ここ数年影を潜めていた花粉アレルギーを盛大に発症している。

強風の月曜日、次男の大学卒業式だった。
進学するので卒業式には行かない、研究室の飲み会だけ行くと言っていた息子だが、気が変わって卒業式には出席することにしたようだ。前日までスノボ三昧で、日焼けと明らかに飲み過ぎの顔で準備している。

男子はスーツが一着あれば事足りる。
4年前入学式用に準備したスーツ一式で出席。
お母さんにはぜひ来てほしいと息子に懇願されることはまったくないが、大学から入場券のハガキが届いたので私も出席した。
卒業式会場までの道すがら、前を歩く女子の袴姿をガン見。
かわいいなぁ。
白袴(薄いクリーム色とか淡いグレージュ)に白いブーツが新鮮だ。
髪には水引きの飾りがトレンドなのか。
女子大では卒業式のための衣装レンタル、着付けから写真撮影まで、提携した業者さんがいて、
卒業式当日は大学内で準備できてありがたいわと娘のいる友人が言っていた。
それでも早朝に家を出て、卒業式は一日仕事だったと言う。

息子の大学は理系の大学で圧倒的に男子が多い。
会場は武道館だ。
そんなサービスはゼロと思われる。
本日ご卒業の女子のみなさま、親御さんおめでとうございますと共にありがとうございます。
ヘアメイクや着付けのために早朝からご家族できっと走り回ったのだ。
そのご足労による晴れ姿を私まで楽しませてもらっている。

卒業式の看板前で一緒に写真を撮ったら息子は秒の速さで去って行った。
即ぼっち。
ハガキを見せて入場。
保証人(保護者)席の空席は少なかったが、正面ステージが見える席に座れた。

それにしても大学の学部名、学科名は長くなった。
息子は理工学部のシンプル且つ昔からある名称の学科に入学したが、
名称変更により、
卒業するのは
〇〇理工学部□□基盤工学科
である。

昔、私が大学生だった頃、
文系の自虐ネタがあった。
関西限定かもしれない。
ギャグの呼び方なのでどなたさまも怒らないでください。

法学部はアホう学部
経済学部はボケいざい学部
商学部は遊びましょう学部
文学部は遊ぶん学部
などなど。
法学部と経済学部は、大昔から言われていたらしい。
ア法学部出身の父が自ら言っていた。

ギャグの呼び方は文系発なのか。
理系の学部に対してはリスペクトとコンプレックスが垣間見える。
おりこう学部、かしこい学部とか。
ほかにもあったが、今の時代はこういうことを言うと怒られる。
怒らないでください。

アリーナの学生席に目を向ける。
私の前の席のご夫婦は、娘さんと連絡を取り合い、お互いの場所を確認しあっている。
アリーナと3階席で手を振り合う母娘。薬学部は女子率高い。
息子が座っているのはどの辺だろう。
おりこう学部、もとい
〇〇理工学部はアリーナ後方だなーと思ってボーっと見てたら、列の端に座っている息子を発見した。
母の眼力おそろし。
そっと写真を撮って拡大する。
間違いない。

式が終わり、規制退場の時間になった。待ち時間が長い。
息子が携帯を見ているのがわかる。
「あなたは見られている」というメッセージと共に上から撮った写真をLINEしてみた。
まったく反応なし。
ああ前の母娘との差よ。
ウザい母の眼差しに上乗せのウザライン。
既読もつかない。
完全に無視。それでいい。

やっと退場の順番が来た。
外は風が強くて日陰は寒くて、くしゃみが出た。
地下鉄の駅に行かずに神保町まで歩くことにした。
好きなカフェであったまり、暗くなるまで本屋めぐりをしてひとりで遊んで帰った。
あそ文学部出身のウザい母です。

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