知らぬ間に虜さ
近所のスーパーのお惣菜売り場の一角に
美味しそげな手作り弁当を見つけた。
そこのスーパーで作られているものではなく
外部から仕入れているものかもしれないその風貌。
内容はいたってシンプルでメインは白身魚のフライか唐揚げの2種類から選べる。
そしてコロッケやちくわのフライやら副菜やらが入ったノリ弁当スタイルだ。
試しに食べてみると自然な味がして、安心した。
手作り弁当の味がした。
好んでよく食べるようになった。
しばらくすると、この町のみんなもこの手作り弁当の魅力にハマり出したようだ。
買いに行ったら残りひとつなんて日もよくあり、
ラスト一個の幸運にもありつけたことに密かに喜ぶ日もあった。
最初の頃はお惣菜売り場の隅に置かれていたそのお弁当たち。
次第に売り場のセンターへと躍り出る。
この時、私の中には若干の寂しさを伴いながらも不思議な誇らしさがあった。
あら、この感覚はあの感覚かしら。
私はいつのまにか手作り弁当のファンになっていたらしい。
君の魅力に初めから気づいてたよ。私は。
なんてよくわからないマウントをとりながら。
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