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恋愛強者だったことなんて一度もないわ!女性扱いされるまでの道のり③

北国の片隅でサラリーマンをしている、アラフィフのかわうそです。

ブサイクな男の子もどきの扱いを受けた幼少期を経て、高校生の時に突然爆乳に育ち、世界線が変わってしまった話の続き。

かわうその自認は、
顔面で人様のお目汚しをしておるため
外観以外のなにかで頑張らねばならない人間。
どうぞ私めで笑ってくださいませ。

それが
爆乳でブレザーをこれでもかと押し上げ
山賊の腰巻きみたいな長さのミニスカをひるがえす
細身のブサイク
に。

見た目と自認が合致しませんわ。



かわうそは、少年漫画とRPGが大好きです。
ゲーム漫画友達の男子が、ジョブチェンジ前から結構いました。
なかでも群を抜いて陰キャでゲームオタクで、
友達がぜんぜんいない、ゲーム友達がいました。

よく見ると、お顔がすごい整ってる男子なんです。
でも私服と髪型がとんでもなく変でした。
フケもよくついてた。
陽キャ軍団に「お前にその顔もったいねぇからくれよー、ギャハハ!」とか言われていました。

友達の中では、一番ゲームへの熱量があった。
漫画もめちゃくちゃ好きだった。
ゲームの攻略を真剣に話し合い、お気に入り漫画のコミックス最新刊を一番最初に貸し借りするくらいには、仲良しでした。

私がスカートの丈を断捨離したあと、
ゲーム友の彼がバッサリ髪型を変えました。
服も、英字新聞柄がプリントされたテロテロのシャツにケミカルジーンズとかじゃなくて、デニムに白Tシャツなどの普通の服装になりました。

いいじゃん!せっかく恵まれし顔面をお持ちなのだから、活かして生きなよ!
あっ、モテてもゲームの攻略は止めないでよね。


そんなある日、私のクラスにカースト最上位の先輩集団がやってきました。

「かわうそって、どの子?」

「あっ、へぇ。私です」

ノコノコ出ていくかわうそ。
上下関係にデラ厳しい文化部に所属していたため、先輩の言うことは絶対です。

集団の後方から、
小さくて、黒目がちな
妖精さんみたいな先輩が現れて。
宝石のような涙をこぼしながら、
私をギリっと睨め上げます。

こわ…
あ、キレイな人って涙もキレイなんだ…

「なにこれ!なにこれブスじゃん!
でかいブスじゃん!なんでなの!
この…
この…

ドラえもん!!!!しね!!!!」


えっ?

えっ?

なにが起きたかわからないうちに、
声をあげて泣きながら走り去っていく先輩。

静まり返る、クラスメイト。

振り返って助けを求めても、みんな首をかしげるばかり。

顔面弱者として卑屈に生きてきたわたくしめが、
美しい妖精さんから激しい恨みを買うなんて。
まったく覚えがない。


みなさんお察しと思いますが
この先輩は、イメチェンした私のゲーム友に恋をしたんですね。
見た目が妖精ですから、これまで振られたことなんかないでしょう。
告れば当然思い通りになると思っていた男の子から、
好きな子がいるのでスミマセンと、バッサリ振られ。
好きな子って誰?という問いに
馬鹿正直に「かわうそ」と答えたために
妖精の呪いが、私に向いたという…

やめれ。

ゲーム友の彼からは
「なんか迷惑かけてごめん…
ってことで、好きなんだけど」

ってことで、じゃねーよ!
私のHPバーは赤色よ!!

ドラえもん!しね!の恐怖で、とても気持ちに応えるマインドにはなれませんでした。


ということで
女性として扱われるようになり
爆乳・ミニスカ・女子高生という武器を手に入れても
恋愛強者にはなれなかったです。

頭蓋骨のあたりが、ドラえもんになる
呪いの解き方が、いまだわからないからです。

だれかシャナクおねがい。

恋愛強者だったことなんて一度もないわ!
【完】


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