外資と迷ったあなたが内資に入社したら起きる事

あなたは今年、大学を卒業し、企業に就職しました。就職先は日系のものづくり系の大企業で、業界では知名度のある会社です。

4月の入社式を終え、新入社員研修が始まります。新入社員の中には、ポイントを稼ごうとしてか毎回質問する人がいます。そういう輩は段々と的外れな質問をするようになり、しまいには講師を困らせるようになります。あなたは、そんな失態を横目に毎日静かに講義を受け続けます。

初めは真面目に聞いていたあなたも、内容が重複していたり、全体がわからないのに専門的な事を解説されたり、そもそも最初から理解できなかったり、段々と退屈に感じてきました。

極めつけは、定時後に毎回提出させられる手書きの報告書です。感想文と銘打ってある以上、感想を書かなくてはなりませんが、それが非常に辛い作業です。この前は手違いなのか、前に受けた内容と同じ内容の講習を別の人が説明しました。同じ内容を聞かされた上に、感想を書けと言われても困ります。それにも関わらず、読み手に細かく読まれ赤ペンで指摘が入るので、気が抜けません。

しかし要領のいいあなたは、段々とコツを見つけ出します。それは、前に提出した感想文の内容を少し変えて今回の感想文にすることです。あなたはこれを駆使して、感想文をルーチン化しました。幸い、バレていないようです。

退屈な座学が終わるとマナー講習が始まります。電話の取り方、名刺の渡し方を二人一組になって、テキストの台本をおままごとのように練習させられます。あなたは、真面目に受けていますが、この講習の意味のなさを実務で痛感することになります。

当然ですが、この段階では、あなたは自分の選択に対し、全く疑問を抱いていません。確かに退屈で面白みのない講習ですが、一回きりの講習なのだと割り切っています。

「やっぱり日系企業は研修が丁寧だね、そんなことまで教えるなんて…」

友人との飲み会では、外資に就職した友人が心底意外そうに言いました。外資系企業に就職した友人は、ため息をつき、憂鬱そうです。

「会社の事業についての講義の次はキャリアパスやパフォーマンスの話で、もう参っちゃったよ。うちは採用された時から既に給料に差があるし、年棒制だから、評価がすごく重要なんだ。評価は、部下、同僚、上司の360度評価だから、全体に対して貢献しないといけない。しかも同僚や先輩は東大、京大のポテンシャルが高い人が多くて…。自分はそこまでじゃないから、頑張ってついていかないと…」

あなたは、その話を聞いて心底今の企業に就職したことに安堵しました。外資は厳しいと聞いていたが、まさかそこまでなんて。あなたは、日系企業を選んだ過去の自分に感謝しました。

そして配属の日、あなたは遂に職場に配属されます。あなたはその職場の人たちの歓迎を受け、自分の机に緊張しながら座ります。あなたの机は空っぽなので、とりあえず新人研修の時に使用したペンなどをそこに入れておくことにします。

各所にあいさつ回りをし、職場のロッカーなどの説明を受けて、1日目が終了しました。2日目、遅刻しないように早めに出社すると、自分の机の上にPCが置いてあります。自分のPCです。午前中で複雑な設定をなんとか終え、いよいよ仕事ができるようになりました。よし、これから仕事頑張るぞ。そこで、あなたは、設定したばかりのPCで信じられないメールを受信します。

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