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ファジアーノ岡山 2021シーズンレビュー 【MF/FW/レンタル組】



2021シーズンレビュー2回目の今回はMF/FW編です。

【MF】

No.6 喜山康平

リーグ:34試合/2294分 天皇杯:1試合

昨季は怪我により4試合のみの出場にとどまったが、今季は開幕からブランクを感じさせないプレーを披露。2019年シーズンから定着したCHで黒子役に徹しチームを支えた。
守備面では持ち前の危機察知能力と球際の強さで相手の攻撃を未然にシャットアウト。それだけでなく鋭い楔のパスと元FWとしてのゴールへの嗅覚で開幕戦からゴールを決めるなど攻撃面でもチームに大きく貢献した。
終盤は怪我により離脱してしまったが来季も開幕からブランクを感じさせ ないプレーでチームを支えてくれるはずである。

No.7 白井永地

リーグ:38試合/3299分 天皇杯:1試合

今季も怪我で離脱した33節から36節以外はほぼフル稼働。
昨季は4ゴール2アシストで今季は1ゴール2アシストと数字としては見劣りするかもしれない。だが尽きることのないスタミナで90分間ピッチを縦横無尽に走り続ける姿は数字以上の価値を示している。
また警告の数が少ないことも特徴である。中盤の選手は激しく守備をするあまり警告をもらうことも多くなる。ただ白井は激しいくもクリーンな守備をする。そのため2014年のプロデビュー以降未だ退場がなく、警告数も岡山加入2年でわずかに3つと中盤の選手では異常な少なさであろう。

白井のゴール 1分26秒~

No.10 宮崎幾笑

リーグ:23試合/953分

今季、J1のFC東京から期限付き移籍で加入した23歳は最後までインパクトを残すことができなかった。開幕戦でPKでチームの今季初ゴールを決め、幸先よくチームに馴染むかと思われたがコンディションがなかなか上がりきらない。第2節金沢戦こそ87分までプレーしたものの、その後のゲームでは後半の早い時間に交代することがほとんどだった。また試合途中でゲームから消えてしまうことも多かった。流れを変えることを期待されて途中出場するもののなかなかその役割を全うする試合を見ることはできなかった印象である。
ただドリブルやパスに関しては高い能力を持っている。そのためコンディションをもっと早く上げることができていれば必ず活躍できただろう。来季の去就は分からないがトップコンディションでのプレーを開幕から見させてほしい。

No.17 関戸健二

リーグ:8試合/269分

今季は開幕からなかなか出場時間を与えられず、4月には怪我で3~4か月の離脱。復帰以降も先発の座を奪うことは難しく、試合に絡むことはできなかった。11月にもトレーニングマッチ中に怪我を負い、今まで怪我が少なかっただけにとても苦しいシーズンとなってしまった。

No.26 パウリーニョ

リーグ:30試合/1618分 天皇杯:2試合

リーグ後半戦のチームの好調はパウリーニョが居なければなかったかもしれない。リーグ序盤はベンチから途中交代で入ることが多く、3月の終わりには怪我を負ってしまった。復帰以降もベンチにいることが多く、なかなか試合に絡めなかったが徐々に調子を取り戻し、第23節以降は第37節と第39節の2試合を除くすべての試合でスタメン出場した。
特に後半戦は圧巻のプレーだった。フィジカルを生かしたファールを厭わない激しい守備で相手からボールを刈り取る。そして刈り取ったボールを長短のパスで攻撃につながる。時にはそのまま威力のあるシュートを打つ。
微妙な主審の判定には先陣を切って抗議をし、様々な場面でチームを引っ張っていた。
来季の松本帰還が濃厚と報道されているが続報が待たれる。

No.27 木村太哉

リーグ:42試合/1979分 天皇杯:2試合

大卒で今季加入ながら開幕戦のスタメンを勝ち取る。すると開幕戦では先制点となるPKを奪取。前半戦はスタメンで、後半戦は試合の流れを変える切り札として途中出場することが多くなった。
ドリブルの切れ味はチームNo.1、どんな相手でも臆することなく仕掛けていきサイドを切り裂いていく。
琉球戦は相手を背負った状態で素早く反転し前を向き、素早い振りでゴールに突き刺した。ゴールへの貪欲さとドリブルの切れという自分の能力を存分に生かしたゴールであった。
攻守両面でのガムシャラさは仲間隼斗を彷彿とさせる。ただゴール数は2、アシスト数は1と物足りない。ドリブルで突破した後の精度、時間帯を考えてのドリブルは更に成長できるところである。

No.28 疋田優人

リーグ:12試合/703分 天皇杯:1試合

衝撃のデビュー戦だった。第7節の愛媛戦、後半86分に投入されると2-1のビハインドで迎えた後半97分だった。ラストプレーでのCK、GKの金山も上がり同点ゴールを何としても奪いたい。白井が蹴ったボールは跳ね返される。高く上がったボールに合わせたのは画面外から走りこんだ疋田だった。浮いたボールに軽くジャンプし、ドライブ回転をかけてゴールに突き刺した。愛媛戦でのゴール後、第15節までスタメンを勝ち取り、第13節千葉戦でもゴールを決めるなど存在感を示した。ただ中盤、終盤はなかなか出場時間に恵まれなかった。
身長175㎝と決して身体は大きくないが臆することなく守備をし、奪ったボールを広い視野で逆サイドに届ける強みがある。またシュートのパンチ力もある。
来季は主力として活躍が期待できそうだ。

No.29 ユ ヨンヒョン

今季は公式戦の出場は0だった。エリートリーグでは2試合出場した。ポテンシャルはあるだけに出番があるチームに移ることも選択肢の一つかもしれない。

No.41 徳元悠平

リーグ:36試合/2694分 天皇杯:2試合

開幕からLSBでスタメンを張るが昨季よりも安定感に欠けるように見えた。しかし宮崎智彦の加入によるポジション変更で本来の調子を取り戻していく。一列上がったことで守備の負担が減り、のびのびとプレー。本来のSHよりも内側の位置を取りCHの手助けをしボールの循環を良くしたり、正確なクロスを上げたりと派手なプレーではないものの堅実に自分の役割をこなしチームに貢献した。

No.48 石毛秀樹

リーグ:14試合/1092分 天皇杯:1試合

7月25日、4年ぶりに天才の岡山帰還が発表された。
昨季は靱帯損傷の大怪我。今季はロティーナ監督の下、出場なし。岡山移籍後の天皇杯ですぐに怪我。これにより約1年実践の場から離れており、すぐに活躍できるかが心配された。しかし心配は全く無用であった。
リーグ戦14試合でキャリアハイとなる6ゴールと2アシスト。石毛がスタメンを張った試合は12戦負けなしを含む6勝6分1敗。さらに石毛がゴールを決めた試合は5勝1分の負けなし。
石毛の戦術への適応能力とクリエイティブなプレーが確実に岡山を変えたと言えるだろう。
決めた6ゴールはどれも才能あふれる美しいゴールであった。特に相模原戦のゴールは11・12月度の月間ベストゴールに選ばれた。
来季の去就はどうなるか。期限付き移籍の延長もしくは完全移籍への移行も期待したいところである。

石毛のゴール 47秒~

No.9 イ ヨンジェ

リーグ:10試合/346分

今季は怪我に悩まされるシーズンだった。ゴールはわずかに2つ。
第3節相模原戦に途中出場以降、踵の痛みにより約6か月間チームから離脱。復帰後もスタメンから出ることは難しく途中出場が続く。今季初ゴールを決めたのは第39節相模原戦。交代のわずか4分後に貴重な同点ゴールを決めた。その試合では逆転ゴールの起点にもなり、岡山のエースとしての意地を見せた。
また最終戦の千葉戦では椎名に捧げる1発を決めるなど、今季の得点はわずかに2ゴールながら重要な場面での2得点であり、来季に期待を持たせてくれる活躍であった。

ヨンジェのゴール 1分58秒~

No.14 上門知樹

リーグ:41試合/3520分 天皇杯:2試合

今季は病気で欠場した38節を除く41試合に出場しチームトップとなる13ゴールを記録。移籍2年目にして岡山のエースに成長した。
岡山に移籍して最も変わったのは間違いなく守備の部分だろう。相手CHへのパスコースを背中で消しながら相手CBへじわじわとプレッシャーをかけていく。第37節甲府戦のようにボールをとれると判断すれば一瞬にしてボールを奪い自ら得点を決めてしまう。守備のうまさで言えばJリーグのストライカーの中でも5本の指に入るのではないかと思う。
もちろん攻撃面でも確かな成長を見せている。昨季はポジションがLSHだったためSHから中に持ち込んでシュートなどが多かった。今季は主に2トップの一角でプレーが多かった。その影響でよりゴールに近いエリアでプレーできるようになった。
すると第18節新潟戦、第33節東京V戦、第34節松本戦1得点目のような裏に抜けてだしてのゴールや第34節松本戦2点目のような中央の低い位置で前向きにもらって遠目からのシュートでのゴールや第39節相模原戦のようなエリア内中央でクロスに合わせてのゴールなど得点のバリエーションがとても増えた。
来季については様々な移籍先が噂されている。ただ上門自身は「まだ何も決まっておらず、岡山残留も1つの選択肢である。」と語っている。どちらにしろ上門が輝ける場所にいてほしい。

上門のゴール 2分5秒~

上門のゴール 2分18秒~

No.15 山本大貴

リーグ:26試合/1103分 天皇杯:2試合

昨季6ゴール2アシストのFWとしては今季の2ゴール1アシストは満足できる成績ではないだろう。ただ山本は数字には残らないところで輝きを放っていた。労を惜しまずプレスバックをしたり何度も繰り返し裏抜けをしたり何度も体を張って起点を作ったりと試合中常に走り続けチームに大きく貢献した。
今季決めた2ゴールはどちらもストライカーらしいゴールだった。第11節秋田戦でのゴールは誰も反応できていないクロスボールにただ1人反応し、今季初FWのゴールを生んだ。また第16節松本戦では上門からのパスを体をひねってダイレクトで打ち、相手GKの逆を突いた。
今季で契約満了となり岡山から去ることになる。岡山では通算78試合で10ゴール。FWとしてゴール数が多いわけではない。しかし常に100%で走り続け仲間をサポートする姿はサポーターの目に焼き付いているはずである。

山本のゴール 2分29秒~

No.18 齊藤和樹

リーグ:19試合/1099分

開幕から2トップの一角でプレー。持ち前のフィジカルを生かして前線の起点となったり、破壊力のある直線的なドリブルなどでチャンスを演出するなど第8節まではスタメン出場を続けた。ただ第9節以降は怪我で離脱。第21節で復帰を果たし、その後はコンスタントに試合に出場していた。しかし終盤に再度怪我で離脱。1年を通してプレーすることはできなかった。
結果として今年は0ゴール0アシストとなった。チャンスはあっただけに決め切りたい場面もあった。プレー自体は悪くはなかったため来季に期待したい。

No.19 ミッチェル デューク

リーグ:14試合/1125分

現役オーストラリア代表は、伊達ではなかった。
W杯予選の影響で離脱と合流を繰り返しながらも14試合で3ゴールと十分すぎる結果だろう。
デュークの加入でようやく上門の相方が決まったように思う。デュークが起点となることで上門が前向きで受けたり、背後に抜けだしたりと相性は抜群だった。守備での連携もよく相手CHへのパスコースを切りながら献身的にプレスをかけ続けた。
デュークの個人の技術はもちろん高い。186㎝の体格を生かした競り合いの強さ・キープ力、スピードを生かしたドリブルで相手に脅威を与える。また相手をだますようなプレー選択をすることが多く、プレーの引き出しの多さを見せた。
来季はW杯も控えるシーズンとなる。オーストラリアが出場するかは分からないがチーム・代表両方での活躍を期待したい。

デュークの得点 2分24秒~

No.20 川本梨誉

リーグ:30試合/1392分 天皇杯:1試合

開幕から出場が続く中でようやく加入後初ゴールを決めたのは第12節の町田戦。今までの鬱憤を晴らすかのような強烈な一撃だった。右サイドで白井の落としを受けると中に持ち運ぶと斜め45度の位置から迷わず振りぬく。早く落ちるシュートはキーパーも触ることができない。
その流れで2試合連続ゴールを決める。疋田からの縦パスを受けるとワンタッチで前を向く。少し浮いていたボールを迷わず振りぬくとクロスバーに当たりゴールイン。どちらのゴールも若者らしい思い切りの良さが出た素晴らしいゴールだった。
ただ調子の波が激しくもあった。その試合以降はゴールもなく、ボールロストが目立つ試合もあった。また守備でも追いかけない場面が見られたように思う。

No.32 福元友哉

リーグ:4試合/39分

今季も怪我に悩まされるシーズンとなってしまった。ベンチ入りをし途中出場できていた中で、トレーニング中に怪我をし離脱。復帰かと思われた矢先に大怪我を負い、今シーズンの復帰は絶望的となった。来季で在籍5年目となるが試合に絡めないシーズンが続いている。

No.35 山田恭也

リーグ:2試合/5分 天皇杯:1試合

リーグでの出場は限られていたものの天皇杯ではスタメンを勝ち取った。試合は見ていないためどの程度のパフォーマンスだったのかは分からないが、Twitterなどの現地の方からは良い情報も多かった。エリートリーグでは得点も決め、来季の活躍も期待したい。

No.38 ブレネー マルロス

リーグ:2試合/19分

夏に加入したがコンディションが上がらず出場は2試合で19分にとどまった。有馬サッカーに求められた守備のタスクもこなせなかったのも出場が少ない原因だと考えられる。プレー集などを見ても決定力はありそうだっただけに半年での退団は残念である。

レンタル組

FC町田ゼルビア
 デューク カルロス

リーグ:7試合/65分

出場機会を求めて期限付き移籍したもののあまり出場時間は与えられなかった。ダイナミックでスピードのあるドリブルは十分に相手の脅威になりえるためもっとプレーしている姿を見てみたい。

鈴鹿ポイントゲッターズ
 松木駿之介 

岡山でのリーグ戦出場:2試合/10分 天皇杯:1試合
鈴鹿でのリーグ戦出場:14試合

岡山での出場時間が限られていたため夏にJFLの鈴鹿に期限付き移籍した。すると移籍後すぐにSHとして4試合先発フル出場し、その間チームは3勝1分の負けなし。14試合で4ゴールの活躍だった。岡山にいたころは慣れないSBなどをやりなかなか本来の持ち味である攻撃の部分を見せることができなかった。移籍後は本来のポジションでのびのびとプレー。自信を取り戻したのではないだろうか。

ラインメール青森
 野口竜彦

岡山でのリーグ戦出場:6試合/25分 天皇杯:1試合
青森でのリーグ戦出場:14試合

リーグ前半戦はベンチに入るもののなかなか出番がなかった。それでも天皇杯でスタメンを勝ち取ると決勝点となるゴールを決め、チームを勝利に導いた。ただその後もプレー時間は伸びず夏にJFLのラインメール青森に期限付き移籍となった。するとすぐに結果を出す。移籍後3試合目で途中出場すると逆転ゴールを決め、チームを勝利に導いた。
来季は岡山でのプレーを期待したい。


データはJ.League Data Site、Football Labを参照しています。

長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。
来シーズン楽しみにしましょう!!!

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