肉を切られて骨を断たれた、岡山はなぜ須藤藤枝に勝てたのか|岡山vs藤枝戦 2024前半

勝ちましたね。今日も乱雑にファジアーノ岡山の試合感想を書きます。

この試合感想は、筆者の勝手な解釈「推察」でストーリー性を意識したものです。決して考察ではありません。

事実よりも「指揮者の狙い」の推察について解説しています。正しいか検証していない情報もお伝えするので、このnoteはフィクションも混じる点についてあらかじめご了承ください。

藤枝 vs 岡山の見どころ

大分戦では前半に勝機を見出した藤枝の須藤監督は、岡山戦では後半になって策を仕掛けてきた。それでは、須藤監督はいったい何を仕掛けたのか?なぜ岡山は勝ち点3を拾えたのか?僕の勝手な解釈でひも解いていく。

勝負を分けたポイントはただ「運」

藤枝戦の試合評価は、完全に岡山の負け試合だった。ではどうして最後は岡山が勝てたのか?それはもう「運」としか言えないものであった。

藤枝10榎本シュートは49ブローダーセンにギリギリ弾かれ、岡山10田中のシュートは味方(相手DF?)に当たってゴールへと吸い込まれていった。途中投入されたエースナンバー10番の「運の強さ」が試合の勝敗を分けたのだ。

木山監督と須藤監督の狙い(前半)

おそらく木山監督のゲームプランは1 -0 で前半を終えるようなイメージだったように思う。詳しくは話さないが、前半途中でシステム変更も用いて、藤枝のゴールを崩す意図を持っていたように見えた。

ただし、あくまでも主な狙いは、前線の攻撃的な選手でプレッシャーをかけるカウンター戦術である。藤枝の守備陣に3枚のFWがプレッシャーをかけて、ショートカウンター(ロングカウンターも)を狙っていたように思う。

藤枝の最終ラインにプレッシャーはかけるが、岡山陣内に藤枝の選手が侵入すると5バックで引いてしまい、守備からの素早い攻撃を意識していた。藤枝は守備での綻びが多いと予想していたのであろう。岡山の攻撃陣であれば、1対1の強さで前半に1点もぎ取り後半をスタートさせるプランだったはずだ。

実際にチャンスは多かったのだが、スコアレスドローで前半終了したことがゲームを難しくしたものと思われる。

一方の、藤枝の須藤監督は、大分戦で見せたようなロングボールからのセカンドボール回収を狙っていたが、9グレイソンのポストプレーと岡山のセカンドボール回収の強さを認めて15分ごろからは後ろでボールを回し始める。

一気に岡山守備陣の裏を狙う戦略に切り替えてきたのだ。だが、ややアバウトなボールも多く、特に88柳タカの攻略には苦労していた印象だった。ミドルシュートは放てるものの、前半の決定機は1本程度で終えることになった。
しかし、これが須藤監督の投じた布石だったのだと岡山が気づくのは後半60分ごろのことになる。

木山監督と須藤監督の狙い(後半)

後半については、須藤監督の「肉を切らせて骨を断つ」捨て身の戦法が、ゲームの流れを藤枝に呼び込むことになった。しかし、この捨て身の戦法によるダメージが、最後の最後で岡山に「運」を渡してしまった要因であるかもしれない。

須藤監督が岡山戦で仕掛けた戦略とは、「後半60分以降のスタミナ勝負」である。後半60分ごろに、10榎本と8朝倉といった藤枝の最終兵器を投入したことからゲームの流れが大きく変わり始めた。

この二人が投入された後は、10田中がどれだけ全力で走っても藤枝の選手にプレスがかからなくなったシーンを確認できるだろう。なぜかと言うと、藤枝の選手たちが「フィールドを広く使う」ように変えてきたのだ。

選手間の距離が遠くなるので、岡山がプレスをかけに行っても追いつくまでにかなりの時間がかかっている。また、岡山が藤枝の選手を捉えようとするほど、陣形が間伸びしてスペースも生まれやすくなるのだ(たぶん)。

岡山にスペースを作らせておいて、左サイド10榎本、中央8朝倉、右サイド19シマブクが個の能力で突破を見せ始めることになる。そしてもう1点の狙いがあった。88柳タカを前半でスタミナ消耗させていたこともポイントだろう。

藤枝が何度も狙っていた左サイドの攻撃には88柳タカがおそらく何度も戻って対応しているはずだ。同時に88柳タカは岡山の右サイドを活性化させる攻撃の起点にもなる選手である。

前半スタメンに俊足24永田を入れた須藤監督の狙いもここにあったのかもしれない。

10榎本を入れたころには88柳タカのプレー精度は落ちており、何度も10榎本にチャンスメイクされたのではないかと睨んでいる(映像は確認できてません)。須藤監督が狙いを持って岡山の選手たちをつぶしにきていたのだ(たぶん)。

試合終了間際には、あの無限列車(スタミナすごいよって意味)24藤田でさえも消耗していることが見られて僕も驚いてしまった。

しかし、須藤監督の仕掛けた大博打は、試合中にゴールというリターンをうむことはなかった。当然であるが、藤枝の選手たちのスタミナ消耗もすさまじいものがあったのだ。

およそ80分以降は、両選手が消耗した状態で試合終盤を迎えることになる。そこで最後に決定的な仕事をしたのが、途中出場した我らが10田中雄大である。10田中の思い切りの良いシュートがチームを救ったのだ。しかし、試合巧者だったのは、確実に藤枝の須藤監督だったと言える。岡山は「負け」の文字さえも浮かんだ藤枝戦であった。

ちなみに99ルカオがいきいきとしていたのは、おそらく藤枝の選手がスタミナ切れを起こしていたからだろう。ヘロヘロの状態で戦車のような99ルカオを1対1で止めるなんて溜まったもんじゃないはずだ。木山監督の投じた戦術99ルカオは消耗した藤枝に大きなダメージを与えていただろう。

今日のワンシーン切り取り

印象に残ったワンシーンを切りとると、80分に藤枝の2川島がヘロヘロの状態で99ルカオのシュートを弾いたシーンも素晴らしかったのだが、このコーナーではあくまで岡山の選手のワンシーンをピックアップしたい。

かなりマニアックなシーンであるが、この試合では49ブローダーセンに注目した。しかも注目シーンはビッグセーブではない。82分に藤枝81中島のヘッドがポストを叩いたシーンである。

このシーンをリプレイで見てほしい。81中島のシュートに対して、49ブローダーセンは飛びつくのではなく、手を引っ込めたのが分かるはずだ。つまり、ポストに当たるコース(または飛びついても間に合わないコース)であることを瞬時に判断したことになる。

ここで飛び付かなかったことで、次の藤枝の選手のシュートにもドンッと構える体勢が取れていた(シュートは打たれなかったが)。また、ミドルシュートの対応でも、ポストを外れるコースはあえて触らずに何度も後ろに流してゴールキックに変えている。

僕程度の空間認識力では、およそ考えられない話しなのだが、もしや49ブローダセンは視野外のポストの位置まで正確に(おおよそでなく正確に)把握しているのではないだろうかと驚いてしまった。ただの偶然で片付けるには、ピンチに手をひっこめたのは不可解なシーンであり、この試合では特に印象に残ったシーンとなった。

まとめ|「強運とは強者の証」である

このように僕が藤枝戦を見た感想は、岡山の完敗であったという認識です。ただし、落ち込んでなどいません。むしろ、負け試合を勝ち試合に変えた「強運」「選手たちの粘り」こそ、試合に勝てる強者に備わるものだからです。

あの織田信長でさえ、桶狭間では天気が味方し、武田信玄が攻めこんで来る前に死亡するといった、強運の強さで歴史に名を残しました。このような強運を持つチームほど、今年のファジアーノ岡山が「真のJ2強者」の証であると言っても良いのではないでしょうか。強いぞ、ファジアーノ。


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