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モヤモヤが洗われた気がした。ストーリーに隠された、作家ますだみくのメッセージ

くまのキャラクターでおなじみの洗たく用洗剤・柔軟剤ブランド『ファーファ』シリーズの『ココロ』が2022年3月にリニューアル!「あらう、あらわれる。」をコンセプトに、成分もデザインも新しく生まれ変わっています。

このリニューアルを記念して、ここまで新コンセプトから着想を得たマンガを2作品お送りしてきました。

前回マンガ制作を担当してくださったitoさんに続き、今回第2弾として作品を描いてくださったのは、マンガ書籍やMVのイラストを手がけるなど幅広く活躍されている、イラストレーター・マンガ家のますだみくさん。

本記事では、『ファーファ ココロ(以下ココロ)』新コンセプトへの印象やマンガ作品に込めた想いなどについてうかがいました。作中で登場したキャラクターに込めた意味も教えてくれましたので、ぜひマンガと合わせてご覧ください!

(まだマンガを読んでいない方はコチラをチェック!>https://note.com/fafacocoro/m/mba21e9460a57

PROFILE
ますだみく

イラストレーター・漫画家。2016年よりイラストレーターとして活動。主に恋愛をテーマとした作品を得意とし、広告やアパレルブランド、アーティストとのコラボなど数多くの媒体で活躍。漫画家としても活動中。
HP:https://masudamiku.wixsite.com/mokotomoko
Instagram:https://www.instagram.com/moko__to__moko/
Twitter:https://twitter.com/_mokotomoko_

心の引っかかりを払拭する、前向きさを。
自身としても挑戦ばかりだった作品づくり。

― 読んだ人の心をスッキリ晴れやかにしてくれる作品を描いてくださった、ますだみくさん。まずは、このマンガ制作依頼を受けたときの率直な感想をお聞かせください。

洗濯用洗剤や柔軟剤には、とても爽やかな印象を持っています。でも私の作品は暗めの恋愛ストーリーであることが多いので、最初は「え、なんで私に!?」とビックリしましたよ。
ただ「あらう、あらわれる。」というコンセプトの詳細を聞いていくうちに、素直に描いてみたいなとワクワクしてきました。
また、「商品を登場させなくてもいいので、自由に描いてください」と言われたのもすごくおもしろかったです。

― 今回の「あらう、あらわれる。」というコンセプトにはどのような印象を持ちましたか?

自分自身も含めて、自分らしさを前に出せず何かしら心に引っかかりを持ったままの方はたくさんいるんじゃないかな、と共感しました。
それと同時に、「自分の中で決めていることを変える」という挑戦をすることに怖じ気づいている人もいるかも……そう感じて、こうしたある種の不器用さを持っている人をマンガの中で描いていくことにしました。

― 実際にマンガに落とし込んでいくにあたっては、どのような想いを持って臨んだのでしょうか。

「ぜひ読者の方に前向きさを感じてもらいたい」というお話があったので、主人公が落ち込みすぎる描写にならないように意識しました。
踏み出したいけど踏み出せない、でも自分なりの「私」は持っている女性を描くというか。ただその意識の中で、今までの価値観を脱ぎ捨てて新しい自分に生まれ変わる人物を描こうと考えたんですが……これまであまりそうした主人公を描いたことがなくて。
私にとっても挑戦のような作品づくりでした。

― あまり恋愛要素がないというのも、これまでのますだみくさん作品とはちょっと違ったアプローチですよね。

はい。恋愛というフィルターを介さず男女が出会う話はあまり描いたことがなかったですね。この点でも挑戦的な取り組みでした。

心を縛る言葉、変化のきっかけとなる言葉。
ストーリーづくりは言葉選びから。

― 実際にコンセプトをマンガにしていくときは、まずどのように全体を設計していったんでしょうか?

何かしら「あらう、あらわれる。」というコンセプトに直接的につながる言葉を入れたいなというところから考え始めました。
それが、最後に入れた言葉ですね。こうして、登場人物に言わせたいセリフや、主人公が変わるきっかけとなる言葉を最初に決めて、そこへどうストーリーを持っていくかを考える、という流れで進めていきました。

― 他の作品でも最後にキラーワードを入れていたりしますよね。とても印象的です。

最後でも途中でも、印象に残る言葉づくりは意識しています。冒頭部分も目に触れやすいところなので、ここの言葉選びにはとても気を使っていますね。

― ますだみくさんとして、今回の作品で「ここはポイントだな」と思う言葉はどこでしょうか?

最初の「●●っぽい」という言葉。褒めの言葉は、その後の自信につながることも多いと思います。でもそれと一緒で、イメージで語られる言葉って、心のどこかでずっと引っかかってしまう、いわば「呪い」のようなものというか……。
何気ない瞬間にポロッと口をついて出た言葉こそが本心なのかなとも思うので、この作品の中でも、主人公の心に何年も引っかかっている何気ないひとことを入れることにしました。

自分が変わって、人を変えていく。
カギとなった「春くん」の存在。

― 今回は、ストーリーとしてもキャラクターの設定としても、ご自身の中で挑戦的な部分が多かったとのことですが……中でも特徴的といえるのが、「いわゆる可愛らしい服を楽しく着こなす男の子・春くん」の存在ですよね。

もともとこうしたジェンダーレスな側面を描く作品をつくりたいという想いもあったんですが、彼を描くきっかけとなったのはSNSでした。

とてもメイクが上手な男性がいて、「別に女の子になりたいわけじゃなくて、ただ似合うし楽しいからやっているだけ」とハッキリ言っていたんですね。
これを聞いて、素直にいいなと感じまして。
もしかしたら、こんなふうに思っていて今踏み出したいと思っている人もいるのかな、と思って、今回の作品に反映させてもらいました。

作中では、「服が好き!自分に似合っていると思うからこそ着てる!」という意志の強さみたいな部分を描きたかったので、彼をどう描くかはすごく悩みましたね。

― 春くん自身も、明日香さんと出会う前には彼なりの葛藤があったのかもしれない……そんな気持ちにもなりました。

きっとそうなんじゃないかな……悩んだ上での今の彼なんだと思います。でもその春くんのキレイさやまっすぐさを、清潔で爽やかな洗剤のイメージと重ね合わせて考えていました。
春くんという洗剤のような存在によって、明日香さんの中にあったモヤモヤが洗われて、自分らしさを少しずつ表せるようになっていく。彼によってキレイな自分に生まれ変わっていったという流れを意識しました。

― 春くんが『ココロ』として、明日香さんをスッキリさせてあげる、という展開なんですね!

はい。そして、その明日香さんもまた今後誰かをそうやってスッキリさせてあげる人となるかもしれない、という。洗うことで自分らしさがあらわれ、また誰かを洗って……という連鎖ストーリーの中の一部を切り取って、今回の作品に落とし込んだかたちです。

人間らしい愛らしさを、
不器用さを通して共感する。

― 今回に限らず、ますだみくさんがマンガを描く上で大切にしていることを教えていただけますか?

不器用な人をイメージして描くことですかね。恋愛に不器用な人、言葉足らずな人などを描くことが多いです。今回でいえば、自分の好みに自制をかけてしまって、踏み込めないでいる人をイメージしました。

― キャラクターに「不器用さ」を入れる、その理由は何なんでしょう?

世の中に完璧な人間っていないと思うんです。だから、不器用さがある方が人間らしいかな、愛らしさが湧くかなと。やはり読んでもらう上では、必ず共感してもらえる要素は入れたいので、このポイントは入れるようにしています。

日常を変えたい。自分を変えたい。
きっと、そのきっかけになってくれる。

― ますだみくさんとして、この新しくなった『ココロ』はどんな方に使ってもらいたいですか?

私自身が今20代後半の世代で、社会に慣れてきたという友人が多いんです。だからこそ、転職や今後の生活の変化ということを意識しはじめた方が周りに増えてきています。
そんな何かしら変わりたいと思っている方や、今の生活も不満ではないけれど、何か新たな風をプラスしたいなと思っている人にはピッタリなのかなと思います。

いつも使っている洗剤や柔軟剤を変えるって、意外と勇気がいるじゃないですか。そこを、ちょっと気分転換のような捉え方で、今の生活にちょっとしたスパイスを入れるみたいな感じでもいいと思います。私自身、洗濯って気分転換をするきっかけのような存在だとも感じています。

― 最後に、このマンガを読んでくださった方やファンの方々へ、メッセージをお願いします。

重ねてになりますが、今回は私にとっても挑戦的なテーマのマンガでした。自分の価値観を完全に固定化してしまった人とか、何か引っかかったまま、モヤモヤしたまま今を迎えている人に、「こんな感じで、新しい自分に出会うのも楽しいかもよ」ってちょっとでも思ってもらえたらいいなと思います。
その「新しい自分に出会う」のひとつのきっかけとして、新しくなった『ファーファ ココロ』も使ってみてもらえたら嬉しいです。

*次回は7/1(金)に更新予定です*


●作家情報
ますだみく
イラストレーター・漫画家。主に恋愛をテーマとした作品を得意とし、広告やアパレルブラン ド、アーティストとのコラボなど数多くの媒体で活躍。 また、2017年からは漫画家としても活動を始め、KADOKAWAから2冊の書籍を出版している。
https://www.instagram.com/moko__to__moko/
https://twitter.com/_mokotomoko_

●コンセプト漫画第二弾「明日香さんとワンピース」

●コンセプト漫画第一弾「私をみつけた話」

●ブランドサイト

●ファーファココロの開発STORY【インタビュー】


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