カバン作りの難しさとは
░ 作るという過程においての壁
完成までに、実はウォールマリア級に高く難しい壁がある。
FADEN TOKYOのコンセプトは「多機能でベーシックなバッグ」
まずは企画から始めるのだが、企画を考えることは正直、簡単だ。
アイデアさえあれば100人いたら、100人が出来る単純なアクションが「企画」だ。
だから自由度が高い。
では、何が難しいのか。
それは考えた企画を「サンプル工程を少なくし、コストを考えながら、次々に現れる弊害をクリアし、品質を保ったまま、どうやってそれを実現するか」だ。
こういう機能と、ああ言う機能を付けて、こういうのも付けて「じゃ、作ってください」と工場に言うとしよう。
たぶん、ナイロンで販売価格10万円の作りがめちゃくちゃなバッグが出来上がる。
「言うだけ」の罪をその時に知る。
まず、設計が出来なければ何も始まらない。
まずはそこからだ。
設計を進め、一つ機能の追加や変更したりすると、かならず弊害が出てくる。
そこを追加行程で補うと、コストが一段階あがる。
追加工程を無くす設計で出すと、他の部分でさらに弊害が出てくる。
いたちごっこというやつだ。
常に多くのお客様に買いやすい金額で届けたいので「コスト」も考えながら、「設計」と「解決策」「スケジュール」を模索する。
それがとにかく難しい。
理想ばかりの完成物は、売り物にならない。
かならず、「お金」というリアルが押し寄せてくる。
ちなみに、FADEN TOKYOを始める前にバッグを作ったことはない。技もないし、知識もない。
一から独学だ。
教えてくれる人なんて、いない。
学校すら行っていない。
何をしたかというと、例えば持ってるバッグの糸を抜いて解体し、構造の理解をした。
裏側の素材や強度を調べたり、ファスナーの強さを図るため、開いたり開けたりを何百回もくりかえしたりした。
ショップに出向いては、週に200個くらいのバッグを見て歩いた。
各ブランドのパーツを調べては法則があることに気づくくらいパーツを見歩いた。
それを数年続けてやっと頭の中のイメージが具現化され、落とし込めそうな気がした。
しかし、そんな状態でも、壁にぶち当たる。
でも解決策は、かならずある。
それが妥協というものでも、納得しながら解決として落とし込む。
日本人は、どことなく「想い」に恥ずかしさを感じ「思い」を大事する人種だ。
でも、「おもい」で人はモノを作る。
おもいを忘れたらその時点で、ものづくりを終わらせた方がいいと思ってる。
自分のために作るのか、人のために作るのか、大事な人のために作るのか。
ものづくりをしてる人たちの目的はそれぞれ違えど、ゴールは一緒だ。
そこさえ忘れなければ、難しさも簡単に思える。
そうやって、ひとつひとつのプロダクトを作り上げている。
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