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同人字書きの私はもう死んだのかもしれない

ショックな事案が発生し、サカナクションの『ショック!』が延々と頭の中を流れている。世の中の9割の人にとってはどうでもいい悩みなんですが、

pixivに投稿した二次創作の小説が、全然伸びない!!!!!!!!
(ここで流れる『ショック』)

自信作だったので余計にショックだよ~~~おろろ~~~ん。投稿日には30分おきに支部(注:pixivの略称)を開いて閲覧数を確認し、あれ、思ったほどカウンター回らなくね…?と不安を抱き、翌日もブクマ数一桁を維持する結果に「アカン!しくじった!」と頭を抱えた。

それでも明日にはブクマ数が増えてるかもしれない…と淡い期待を抱いて眠りにつく夜をもう二晩も越えている。そして落胆の朝を二度迎えているのである。

いやぁ~もうショック!ショック!ショック!ショッショックですよ!
山口一郎じゃなくても踊るしかないわこんなん!

昔はそれなりに数字取れたのになぁ…年取って感受性が衰えたのかな…と悶々と反省ポイントを探していたんですが、ちょっと待って!

あなた、二次創作を心から楽しめていますか?


ものすごくものすごく正直に言うと、私はそろそろ二次創作の世界からスピードワゴンのごとくクールに去るべきじゃないかと思っている。

それは二次創作を続ける中でいくつもの疑問や苦悩や閉塞感にぶち当たってきたからで、具体的に列挙するならば以下のとおり(専門用語が飛び交います)(あくまで個人的な意見です)。

・キャラクターやストーリーがあらかじめ固定されており(当たり前体操)、たとえパロディであっても原作の世界観から大きく飛躍できない。

・周囲に「小説書いてます」とは言えても、「二次創作書いてます」とは口が裂けても公言できない。私の趣味をうっすら知ってる家族ですら苦笑い。

・エロを書けば数字が伸びるため、惰性でエロを執筆する時があって自己嫌悪に陥る。そして実際数字が取れてしまうので余計自己嫌悪に(略)。

・というかぶっちゃけ愛すべきキャラをポルノ消費しているのでは…?推しキャラは承認欲求を満たすための道具ではなくない…?

・前述のとおり、フォロワー数やブクマ数に自律神経がやられるほど振り回される。数字を持つ者が神絵師や神字書きと称賛される慈悲なき世界。

・ジャンルを「村」「界隈」とひとくくりにし、狭いコミュニティの中で交流を深めていくことへの息苦しさ。集団行動が苦手なので、どのジャンルにいても孤立気味だった…。

・「固定」や「リバ」への配慮を必要とされる。必要というかもはや強制。以前「キャラの攻受とか正直どうでもよいのでは?」的なツイートをして、固定派から烈火のごとく怒られたことがある(反省した)。

・とにかくルールが多いし謎ルールも追加されていくしSNSでの発言ひとつとっても界隈の空気を読まないといけない。界隈の一員であるうちは楽しく萌えを語らえるが、ひとたび輪から外れてしまうと戻るまでに相当な努力が強いられる。
そこまで努力して戻りたい場所か?と思ったらもう終わりである。

・ちなみにあらゆる炎上や学級会で嘲笑されつつ使われる「界隈」という言葉が私は嫌いです。

原作を愛しキャラを愛し、ほとばしる情熱を創作活動にぶつけたいだけなのに、上記のあれこれを経験すると「もう何もかもめんどくせぇ…」と疲弊しきったゴリラ顔になってしまう。チーズ蒸しパン案件が多すぎる。

めんどくさいついでにコロナ禍で即売会から遠ざかっているうちに、創作にかける情熱もあっという間に萎んでしまった。
去年の今頃は自分が何を書きたいのか分からず迷走しまくり、仏教校が舞台のBL小説を書いて身内に無料配布するなどしていた(迷走…)。

仕事や家事と違って、趣味なんてものは別にやらなくても死なないし誰も困らない。私を含む多くの人にそれを気づかせやがったコロナウイルスを私は深く憎む…一生許さん…。

同人活動が楽しかった時期もあった。というか初めて書いた二次小説が色んな人に褒められたことをきっかけに創作活動へとのめり込んでいった。

同人誌即売会では猛暑や厳寒の中わざわざスペースを訪れ、差し入れや手紙をくださった読者の方もいる。手紙は今もクッキー缶に入れて大切に保管しています、本当にありがとうございます。

中には「鋏子さんの小説に救われた」と仰ってくださる方もおり、今なら他人の褌で読者を救済するなどおこがましいにもほどがあるのでは…?とまた悶々としてしまうのだが、当時は身が引き締まる思いだった。

たとえ素人の書いた文章であっても、言葉には重みがあり責任がともなう。
しかし二次創作のさまざまな制約の中では、使いたい言葉が正しく使えないことがある。分かりやすい話の方がいいよねと、スナック菓子みたいに安っぽい言葉を繋げて作品を作ってしまうこともある。

何物にもとらわれず、自分らしさを100%出力した物語を書きたい。たとえ分かりづらくても誠実な言葉を使いたい。
こうした欲望を叶えられる場所は、もっと他にあるんじゃないだろうか。


ちょっと自慢になりますが、先月コバルト短編新人賞に初めて応募した作品が最終選考に残りました。特に連絡があるわけではなくたまたまHPを覗いたら自分の名前があってヒェ〜っとなった。
怖くて選評はまだ読めていません(はよ読め)。

年4回やってる賞にビギナーズラックで引っかかっただけの話だけど、これがめちゃくちゃ嬉しかった。自分にはそれなりの実力があるのだと自信が持てて、次は絶対に大賞獲ったるぞと心に決めた。

この原稿用紙30枚程度の短編を読んだ人は、おそらくこの世に両手で数えるほどしかいないんじゃないかと思う。去年投稿した推しカプのエロ短編が2000ブクマ超えてるのに比較したら、ほぼこの世に存在しないも等しい作品である。

それでもめちゃくちゃ嬉しかった。私が生み出した登場人物が、設定が、ストーリーが、確実に誰かの心を動かしたのだ。

「これが私の作品です!」とようやく胸を張って言える。原稿用紙の最初の1文字から最後の1文字まで、すべてに対して私だけの評価が与えられる。
もちろん逃げ場はないけれど、ひどく真摯で贅沢な世界だと思った。

というわけで、しばらくは公募小説と真面目に向かい合おうと思います。もしかしたら数年後どこかの賞に拾われているかもしれませんが、別名義を使うから意外と気づかれないかもね!

かといって同人字書きの「鋏子」が死ぬかと言ったらそうでもなく、しばらくは並行して続けるつもりです(タイトル詐欺)。
なんと言っても即売会の活気がね…忘れられんのよ…自分含めみんなオタクな空間ってマジで空気がおいしいよ…。

多分二次創作のあれやこれやに頭を悩ませていっそ筆を折ろうかな…と思い詰めちゃう人も少なからずいるかと思いますが、

萌えたら書く。
萌えなければ書かない。

同人活動はこのくらいのモチベーションで続ければいいんじゃないですかね!?私もまた推しカプへの萌えが芽生えたらグワワッと書くんで!!

とりあえず今夜はあらゆる苦悩を払拭すべく、『ショック』を踊り続けたいと思います。

ショック〜ショックショックショッショック〜♪もうブクマ数なんて気にしないぜ~♪


おしまい。

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