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ギバー&テイカー&マッチャーについて思うこと〜『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』を読んで。

先日、アダム・グラントさんの『GIVE&TAKE』を読みました。

もともと、TED Talkで「Are you giver or taker」を見て、考え方やマインドに惹かれた研究者の方でした。

そして、最近ついに本も買いました。読むのに3時間くらいかかったので、 簡単に内容を知りたい方は、ぜひTED Talkの方もみて見てください。


本書では、ギバーはテイカーに搾取され、短期的にはテイカーが最も得をする、中期的にはマッチャーが良いなど、ペイフォワードの生き方を志す人にとって大変示唆に富んだ内容となってます。

僕自身、沖縄にいた頃は、ギバーの考え方に価値を感じていました。しかし、東京に来てマッチャーの考え方に染まってきていました。

でも、この本を読んで「戦略なきギバー」搾取されるが、広い視野、高い視座を持ったギバーは良いパフォーマンスを発揮するし、かつ心理的な満足度も高いと考えるようになりました。

本書のメインメッセージは、「どうすれば戦略的なギバーになれるか」ということではないでしょうか。

1. ギバー、テイカー、マッチャー3分類

 本題に入る前に、まず「ギバー」「テイカー」「マッチャー」について簡単に紹介します。

ギバー惜しみなく与える人。自分を犠牲にして人に尽くす自己犠牲型のギバーと、相手によって自身の関わり方を変える他者志向型ギバーがいる。

テイカー自分の利益を優先させる人。与えるより受け取る方が多くなるように行動する。愛想が良く気前が良いテイカーもいるが長期的に見て自分がどれだけ受け取れるかで行動を変える。

マッチャー:損得のバランスを考える人。相手によって自身のスタンスを変える。相手がギバーならギバーとして接し、相手がテイカーならテイカーとして接する。与える量と受け取る量の一致を目指す。

以上がギバー、テイカー、マッチャーの三分類です。

2. 「与える人」こそが成功する時代?


では、本書の副題である「与える人」こそが成功する時代とはどういう意味でしょうか。

単純に理解するなら、ギバーがこの三つのグループで最も成功するというように理解できます。実際、そういう意味なのですが、本書では少し違ったニュアンスで書かれています。

アダム・グランドさんは、看護師やエンジニアの方を対象に調査を行い、それぞれの仕事の成果をギバー、テイカー、マッチャーごとに測定しました。

唐突ですが質問です。
ギバー、テイカー、マッチャーの中で最も仕事の成果が悪かったのはどの性質を持った人だと思いますか?

もしかしたら、テイカーだと思う方も多いのではないでしょうか。

実は、最も仕事の成果が悪かったのは、ギバーの性質が高い人たちでした。

なぜギバーの成果が悪いかというと、ギバーは自分の仕事を後回しにしてでも人の仕事を手伝ったりします。その結果として自分自身の仕事のパフォーマンスが低下することがあります。

ちなみに、次にパフォーマンスが悪かったのは、テイカーでした。

テイカーは、最初は自分が有利になる状況を作るので短期的には高いパフォーマンスを発揮します。しかし、長期的に見た場合、徐々に敬遠されていくので仕事のパフォーマンスは下がっていきます。

では、残ったマッチャーが最も高いパフォーマンスを発揮したのでしょうか。

実はそうではありません。最もパフォーマンスが高かったのは、同じくギバーでした。

マッチャーは相手によって行動を変えることで、自分の仕事を順調に進めつつ、相手が手伝ったら自分も手伝う。自分が手伝ったら相手が手伝うことを期待するという関わり方で、自身のパフォーマンスを維持していました。

その点で、マッチャーは中期的な人間関係においては最も成果を出す可能性があると言えます。

しかし、長期的な関係性で見た場合、最も成功しているグループはギバーでした。

与えることで短期的には自分のパフォーマンスが損なわれるように見えても、長期的に見るとそうした行動によって培った信用が人的、技術的なネットワークを形成し、自分の評判やチームとしての成果の向上の要因になります。

ギバーは、限られたパイを奪い合う思考(テイカーやマッチャーに多い)ではなく、全体に共有されたパイを拡大することに重きを置きます。

全体のパイが大きくなった結果として自分自身の成果も大きくなるという発想です。

しかし、上記のギバーのあり方は理想的な状態においてのギバーとしての振る舞いです。

愚直にギバーとしてのあり方を実践するだけでは、テイカーに搾取されてしまいます。

つまり、その点が最もパフォーマンスの高いギバーと最もパフォーマンスの低いギバーを分ける戦略なのです。

3. ギバーとしての生存戦略

それでは、成功したギバーと成功できなかったギバーの違いは何でしょうか。本書では「自己犠牲型ギバー」「他者志向型ギバー」の違いが挙げられています。

「自己犠牲型ギバー」の場合、テイカーに搾取されることが多く、自分がどれだけ尽くしてもその見返りが返ってこないことによって(もともと見返りを求めていない場合も多いですが)、自分の努力が成果に反映されないという状況が生じます。

また、自身を犠牲にして人に尽くすことによって燃え尽きてしまうギバーもいます。これが、理想的なギバーが成果を上げづらい理由の一つです。

一方で、「他者志向型ギバー」の場合も最初はギバーとして与え続けます。しかし、相手がテイカーの場合、自分の関わり方をマッチャーに変更します。

そうすることで、誰に与えるべきか、または誰とは関わらない方がいいかを選択します。テイカーに対してはマッチャーとして振る舞うことで与えることをやめます。

自分の限られた時間と資源を与えるべき人に集中することで、信頼関係を構築し、かつ成果にも反映させることができるのです。

また、ギバーの行動原理は相手が喜ぶことである場合が多いので、ちゃんと自分の行動に対して反応を返してくれるマッチャーかギバーと関わる方が、ポジティブなエネルギーを循環させることができます。

それが、さらに与え続けるという循環につながり、ギバーとしてのパフォーマンスがさらに発揮されるのです。

4. 考察

以上が、『GIVE&TAKE』のまとめです。戦略的なギバーを学ぶ上で本書以上のものはないと思いますので興味があればぜひ読んで見てください。

これらの内容を踏まえ、僕的な考察をさせていただきます。

本書では、テイカー、マッチャー、ギバーの三つで人の特性が分類されています。

しかし、その人がどの時間軸で人間関係を構築するつもりかによって上記の三特性のうち、どれが現れやすいかが変わると思いました。

例えば、テイカーは福袋の争奪戦は、他者のことをあまり気にしていないような状況で発揮されやすいと思います。

今後、ここにいる人たちとは、あまり関わることが無いという前提で、自分の利益の最大化を図るように振る舞います。時間軸的には、相手と信頼関係が構築できないいうこと意味で、1日未満の関係性です。

マッチャーは、バイトでの関係性だと個人的には思います。バイトは、いつ辞めるかわからないけど、簡単には辞めれません。

ある程度の人間関係を構築し、また自分の見られ方を気にする関係性です。数ヶ月から1年単位で関わる関係性です。

最後に、ギバーは、仕事などでの関係性だと感じています。仕事では長期的に職場の人たちや社外の人たちと関わります。

またここでの評判は、今後のキャリアにも影響し、自分の人生の満足度にも影響を与えうります。時間軸としては1年から数年単位の関係性です。

5. 個人的に思うこと

僕自身は、上京して元々所属していたコミュニティから抜けたり、その他にも日本を離れていた期間もあるので、関係性がリセットされる経験を何度も経験しています。

その経験から思うことは、執着するほどの関係性はそこまで多くないということです。何度か関係性がリセットされる中で、それでも会いたいと思う人は、厳しい言い方になりますがほんの一握りでした。

それでも、その一握りの人がいるからこそ、人生が豊かになり、喜びに満ちているのだと思います。

その一握りの人に、自分の全エネルギーを集中する。

自分の時間は有限であるという前提のもと、過ごしたい人と過ごし、与えたいだけ与える。その結果として、信頼関係がつくられ、一生涯のつながりが生まれるのだと思います。

僕は、部活時代の仲間や、大学時代の仲間、大学院で出会った尊敬する方々には、生涯を通じて関わりたいと感じています。

そこには、見返りを求める気持ちは、ほとんどありません。そのように自然と思える人たちに、自分の気持ちを集中することが、本当の意味での「与える」だと思います。

変化が激しく、昨日いた人が明日にもいるか分からない状況では、ギバーとしてのあり方は、骨が折れるかもしれません。

それでも、一年に一人でも、見返りを求めず、自然と与えてしまっている人に出会えたなら、それだけで十分すぎるほどのものを人生から受け取っているのだと思います。

僕は幸いにも、東京にきて1年半をかけてそう思える方に出会いました。その方には感謝してもしきれません。

そして、その方を通じて出会った方々は、僕が東京で過ごしたこれまでの時間をすべて費やしても出会えて良かったと思える方々です。

あなたにとって、自然とギブしてしまう方は誰ですか?

少し『Give&Take』の話とずれてしまいましたが、個人的に本書を読んで思うことでした。

ぜひご一読ください。


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