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第一回 点群転生デザイン原論

2023年秋学期前半科目として開講された寄附講座「点群転生デザイン原論」。2023年10月3日、全7回の授業のうち初回となる講義が開催された。本記事では、3時間に渡って行われた初回講義の模様を公開します。

概要説明となる第〇回はこちらから

点群転生デザイン原論
慶應SFCで2023年秋学期開講。會澤高圧コンクリート株式会社による寄附講座。本講義では、使用済みのものを廃棄するのではなく、形を変えて新たな利用先を生み出し循環させる際に、新たな「物語(ストーリー)」を介在させる方法を「(ものの)転生」と捉え、その新しい方法を開拓する。


開講

13時SFCのβドームには選抜課題をやり切った履修者30名ほどが集まる。田中浩也(敬称略)による簡単なイントロダクションの後、會澤大志(敬称略)による講義が始まった。

βドームでの講義の様子

サウジアラビアからリモートで行われた講義は、「学生に最新の技術や取組を体感して欲しい寄付講座」であると述べ、建築事務所ADAAC、會澤高圧コンクリート株式会社などで會澤大志が手掛ける事業の説明から、これからの講義と実践の種となる話が展開された。

怒涛の1時間半だった。リアルな実体のある物(=コンクリート)をLLM大規模言語モデルに認識させていく試みを行うこと。転生とは、自分の実体とは異なる自分を認識できることができること。BIMではなく点群で処理し検証を行うこと。コンクリートバクテリアから、攻殻機動隊、チームラボ、借景と遠近法、AIや人の揺らぎの可能性まで、多くのワードが飛び交った。フィジカルとデジタル、具体と抽象、実践と議論を繰り返す全7回の講義で咀嚼していくことになるだろう。

サウジアラビアより講義を行う會澤大志


日本人であること、日本に住んでいること、日本から発信していくこと。

しきりに話題に挙がったのは、日本人の可能性だ。もののあはれを好み、不確実さや曖昧さを受容できる日本的な感性・感覚は世界に新しい視点をもたらすと信じる。

これまでファブラボジャパンのファウンダーや2020オリンピック・パラリンピックの表彰台を手がけた田中浩也と、チームラボに所属していた経歴があり、サウジアラビアをはじめ技術を用いて日本文化を世界に展開している會澤大志の2人だからこそ説得力のあるものだ。

また、田中浩也は、「昨今の変化の激しい時代に、過去の成功体験を学び鵜呑みにしすぎることは危険である。今あるものについて考え、作ることがデザイン研究において重要である。」と言い切った。


セメント、モルタル、コンクリート

初回授業後半は手を動かす。セメント、モルタル、コンクリートの違いの説明のあと、履修者が持ち寄った日常にある容器にコンクリートを流し込むワークショップが行われた。

思考とフィジカルとデジタルが振り子のように展開するのがこの講義の特徴だ。履修者の中にはコンクリートを扱うことに魅力を感じて履修を決めた人もいた。

混ぜる
詰める
ぐしゃぐしゃにしたペットボトル
ペットボトル
パンプキン
キーピング
ビニール手袋
乾燥前のコンクリート群

さまざまな容器、詰めるものが揃った。レイチェル・ホワイトリードのキャスティングを参考にしたワークショップ。何かを入れていた空間が可視化されるのは、乾燥し固まった次回授業になる。

本記事は「点群転生デザイン原論」マガジンの連載記事です。
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