激しい運動会のあと
全てのセットが消え去って
演者の誰も居なくなった風の吹く午後
目を閉じるとなぜか
混沌と静寂が矛盾なく成り立つ景色があった
少ない言葉しか持たない私は
それを表す術を知らない
調べても仕方ないことは分かっていたから
じっとして旗が倒れるのを待った
記号が落ち着くのを待った
そのうち夜は
生者たちと添い寝する支度をして
皺をつけたまま乾いたシャツにまごころを思い出す
ある真実は自分だけのものだと言い切るために買った切花が
小さくなってゆく
全部に土を混ぜたような色になる
帰る準備をしているのだろう
摘まれて買われたこの花は
行くべき道をわかっている
聞くところによると
植物にも言語があるらしい
他の者に教えてもらったのか
種のときから知っていたのか
いまではどちらでもいいことが
命そのもののように
語り尽くしている

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