わたしたちは裸で産まれてきた、だからいつかの今際の時に、薄いコンタクトでさえ天国へ持っていけない、持っていけては、わたしたちはきっと、くだらないものを選んでしまう、数十年をかけてわたしたちは、たくさん着込んだ、たくさん忘れて、たくさん食べて、たくさんを吐いた、たくさん見捨てて、たくさん甘えた、大抵のことは、必然だった、大抵のことは、適当で、あなたと笑っていた、あなたが笑っていた、わたしの話で、あなたは笑っていた、粘膜の向こうで、あなたは、例えば人かもしれない、木かもしれない、ベンチかもしれない、自転車かもしれない、ほんとうはここに、いないかもしれない、けれどもわたしはそれを認めた、なぜかいつまでも覚えているから認めた、選んだ、洋服にして、着こなした、くるっと回って、見せびらかした、柔らかい涙が出て、少し輝きを増した目は、わたしの鼓動の、ベッドの上

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