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設計施工分離方式の工場建設プロセス

目次
1 工場建設計画初期の悩みとは?
2 設計施工分離方式の主要登場人物
3 業者選定から基本設計
4 実施設計から施工中
5 建物完成からアフターフォロー
6 まとめ

こんにちは、食品工場建設のコンサルタントの鈴木戒です。本noteでは建築発注方式の「設計施工分離方式」をご紹介いたします。

1 工場建設初期の悩みとは?
工場建物を検討される多く方が、「どこの建設会社に依頼すべき?」「図面は設計事務所に依頼すれば良いのだろう?」など、業者を選びや発注方法をお悩みになります。

建築の発注方法は大きく「設計施工分離方式」と「設計施工一貫方式」に分類されます。
「設計施工分離方式」は設計事務所や設計士が設計図作成し工事監理を行い、工事は建設会社が行います。
一方「設計施工一貫方式」は建設会社に設計から建築工事、工事監理まで文字通り一貫して依頼する方式となります。

2 設計施工分離方式の主要登場人物
 施 主:建主(たてぬし)、オーナーともいいます。
何らかの目的のため建築物を必要とし、費用負担される個人や法人であり、
事業の実行者です。
 設計者:建築士、設計士、設計事務所
施主の目的達成に必要な建築物を、施主の意向や事業内容に沿って設計図を
作成します。
 施工者:ゼネコン、建設会社、工務店ともいわれます。
設計図の通りに建築物を完成させ、施主に建物を契約工期内に引き渡す事を
請け負います。
施主の意思決定の下、主にこの三者により下記プロセスが進行します。

3 業者選定から基本設計
〇設計図とは
一般的に機械、製品の製造には、設計図が必要であり、建物建築も同様です。
建築の設計図は専門的な知識無しには作成は出来ないため、必然的に設計者へ依頼することになります。
設計者が作成した図面が一般的に「設計図」と呼びます。

〇設計者の選定から業務内容
さて、設計者の選定方法は、提案型(プロポーザル)、競技(コンペ)により複数社からの選定と、計画当初から設計者の決定する(特命)に大別されます。
 施主は、設計者に規模、導入機械、作業内容などの基本情報やスタッフ採用や福利厚生、来客者対応など、「完成後のイメージ」を打合せします。
 基本情報と完成後のイメージを基に、設計者は設計図を作成し、提案型・競争型であれば、提案内容・予算を総合的に判断し選定します。選定の設計者と設計業務委託契約締結が計画の第一歩です。
設計業務委託契約は「設計図」「電気設備図」「機械設備図」「構造図」の作成業務から、施工者が設計図通り施工しているか監督する「設計監理業務」を依頼します。
設計者が、用途、規模、構造、形状、動線や導入機械等をヒアリングし、図面化の工程を「基本設計」といい。基本設計で作図された図面を「基本図」と呼びます。
「基本図」は基本的な指針となりますので、遠慮のない打合せをお勧めいたします。

4.実施設計から施工中
〇実施設計
基本設計完了後、建築を実施するための設計である、「実施設計」を行います。
実施設計は基本図を基に、設計者が役所に提出する確認申請図面や、消防書へ提出する図面、強度をチェックする構造図など、より実務的な図面が作図されます。

〇確認申請 
役所に提出する確認申請図面とは「建築する建物が法令等に沿って設計されているかを確認する」手続きです。行政担当者が審査の手続きで、許可である「確認済証」無しには工事着工することはできません。

〇見積依頼
実施設計完了後、施主・設計者が1社又は複数社の建設会社(施工者)へ見積依頼をします。
設計者と施工者が別法人の場合は「設計施工分離方式」といい、複数業者に見積依頼をする「入札」や「相見積」が多く採用されます。確認申請期間に同時並行で見積を実施するケースが多くみられます。
一方、設計者と施工者が同一法人の建設会社、ゼネコンの場合は「設計施工一貫方式」とよばれ、施工者選定は不要です。

〇着工
確認申請の役所の許可を得ることを「確認済」や「確認が下りた」といい、建物着工が可能となります。この時期は、施工者が決定しており、施主と「地鎮祭」の打合せに進んでいます。
ここまでの過程で設計図は完成しますが、それだけでは建物を建築はできません。
設計図には工事に必要な細かな情報は描かれないからです。
設計図をもとに施工者が詳細情報の図面化が施工図とよばれ、工事は施工図を基に進行します。

〇施工中
施工中にも、施主・設計者・施工者の三者での打合せが必要です。
例えば、内装、機械稼働納入方法など工事進捗と合わせ詳細を決定し、施工図に反映します。定期的に打合せは開催され、施主、設計者、施工者の他に、協力業者、機械納入業者が適宜参加し、詳細を決定致します。

5.建物完成からアフターフォロー
〇完成検査
建物完成後に、設計者は施主の受任者(監理者)として、図面や打合せのとおり施工なされたかプロの目線で、検査を致します。その後、役所、消防署が検査を実施し、検査完了が済み、建物使用が可能となります。
監理者検査を経て、施主の検査となり、役所・消防検査と前後することがあります。

〇引渡し
各種検査を経て、施工の問題なければ施工者から施主に建物の引渡しとなり、取扱い説明、竣工図面や鍵など、多くの書類や物品が引き渡されます。
以上で「建物を建てる」工程は完了です。
完成後は、施工者が定期訪問し、工場稼働後の不具合や修繕のアフターフォロー対応するケースが一般的です。


6.まとめ
施主の要望を、設計者が図面化し、設計図面を基に施工者が建てる方式である「設計施工分離方式」イメージ頂けたかと思います。
設計施工分離方式は海外では一般的ですが、日本では「設計施工一貫方式」が多く採用されております。

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