#13賃貸マンションの施工現場(土木作業員からコンサルタントになった話 土地活用編⑤)
皆さんこんにちは。
土木作業員からコンサルタントになった話第13話です
前回では、賃貸マンション施工現場での墨出しとM所長に叱られたお話でした。
今回は、コンクリート打設についてご紹介します。
ラーメン構造と壁式構造
私が在籍していた会社はローコストマンションと言われるもので、壁式構造が用いられておりました。壁式構造とは壁量で上階の荷重を支える工法です。主に5階以下の低層階の建物に採用されます。
柱や梁で構造を保たせるラーメン構造と比較して、その当時2割程安価に施工が可能でありローコストマンションメーカーが壁式構造で商品展開をしておりました。
鉄筋とコンクリート
コンクリート構造は鉄筋の引っ張る力とコンクリートの圧縮する力がそれぞれを補い、優れた強度を持つ性質となります。
壁式構造のコンクリートの打設は以下の工程となります。
①壁面の鉄筋を配筋
②壁型枠
③上階の床型枠
④上階の床配筋
⑤コンクリート打設
⑥左官
⑦養生
⑧型枠バラシ
ザックリとはこんな感じなのですが、現場管理者には合間に様々な仕事があります。
写真管理
現代と20年前で大きな変化があったと感じるのか写真管理であり、その技術変遷として欠かせないのがデジカメです。
役所に中間時と完成時に検査を受け、適切に工事が行われたか写真を提出します。
コンクリート打設前には決められた鉄筋が使われているか、決められた配筋幅であるかを証明するため、写真撮影が現場管理の仕事です。
黒板に撮影位置や日時を記載し、カメラのシャッターを押します。
現像まできちんと撮影されているか分からず、心配性の私、数多くの撮影をします。
(1ヶ月の現像代が10万円超えたときには、M所長に怒られました)
フィルムをカメラ屋さんに預け1週間ほどで、現像された写真が届き、ファイルに綴じるまでが新人の私の仕事でした。
鉄筋屋さんの配筋作業が終わると型枠大工さんが追いかけくるので、時間に追われながら撮影になります。撮影が終わらない時は、休日に出勤をして、撮影をします。あまりにも心配すぎて、その当時に世の中に出始めたデジカメでも撮影しますが100万画素くらいであり役所提出には一般的ではありませんでした。
現代では、iPadなどにより写真管理も簡便になっております。
スラブのレベル
配筋作業が終わると型枠大工が現場に入ります。壁が立ち上がり、スリーブ設置後、上階のスラブ(床)の型枠、配筋が終わるとレベルの測量になります。
レベルで、高低差を確認しつつ、サポートジャッキにて調整します。
これで、ようやく打設を待つのみ、、、
にはなりません!
岩手県は北国!
冬場は雪との戦いです。
打設当日
前日に天気予報を確認すると、、、雪
型枠に雪が積もらないよう、ブルーシートで養生します。
打設当日早出です。
ブルーシートを外し、雪が積っている場所は温水のジェット噴射にて、融雪します。
朝から準備をし、いよいよコンクリート打設です。新人私の仕事は、型枠内にコンクリートが流れ込むよう、木槌で型枠を叩いたり、圧送ホースが職人さんの邪魔にならないよう、ホースを移動させたりします。
一番難しい判断が、打設の終盤の「あと何立米コンクリートを発注するかです」
多すぎるとコンクリートを捨てることになり、少ないと再度発注になり、運送費が掛かります。
絶妙な判断が必要なのですが、次席のSさんはこれまた絶妙に量を外し、運送費を掛けてしまい、M所長に叱られることが多々ありました。
打設が完了すると、左官屋さんが仕上げを行い、凍結防止のためにブルーシートを掛け、下階では、ジェットヒーターを炊きます。給油が必要な場合には、泊まり込みです。
何故か打設が終わると、飲み会となり散々お酒を飲まされました。
ハードな作業に対するM所長なりの労いだったのでしょう。
私にとっては、「早く、家帰ってくれないかなぁ」としか考えませんでした。
この様な作業を繰り返し、躯体が完成します。
まとめ
今思い返しても、コンクリート打設はハードで、現在も大きく工程は変わりません。
DX化が進んでいますが、技術職である鉄筋、型枠の職人さんは置き換わることは無いと考えられます。
建築業界の発展には、職人さんは入職者増加や働きやすい環境の提供が必須であり、大手ゼネコンもあの手この手の施策を講じております。
もちろん、地方の中小建設業者も、働きやすい環境整備に手を尽くしおります。
2024年問題が目の前に迫っている中で、業界をあげて変革をしなければなりませんね。
最後までご覧頂きありがとうございます。
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