IL Veleno(服毒)

※この記事はミュージカル ロミオ&ジュリエットのイタリア演出版「Romeo e Giulietta ama e cambia il mondo」のDVD全編和訳とその感想、公演の情報やセット・衣裳などについてまとめたマガジンの一部です。シーンごとに記事を分け、投稿が古い記事から順番になっています。
※イタリア語の歌詞、台詞は掲載しておりません。記事前半はシーンの日本語和訳、後半はシーンの感想、考察で構成しています。


Dio sa quando ci rivedremo 

〔カプレッティ夫人〕
手伝って欲しいことはある?

〔ジュリエッタ〕
いいえ お母様。
明日の式に必要なものは、もう選んでしまいました。

〔カプレッティ夫人〕
おやすみなさい

〔ジュリエッタ〕
さようなら…
またお会いできるかは、天にしか分からないのね

♪IL Veleno(服毒)

〔ジュリエッタ〕
空をゆくの
あの人の夢の中
愛する人
私は戻ってくるわ
あなたのためにここへ
神よ 私を導いて
毒よ 私を殺しなさい

ロメオ
私たち 何故こんなふうに偽るの
私たちを役者にするのは何故
神よ 私を導いて
毒よ 私を殺しなさい

ロメオ 
このゲームは何? 分からないわ
死なないために
少しの間 死ななくてはいけないの
一族の亡霊たちが
あなたから私を引き剥がすのよ

〔コーラス〕
空をゆく その人の夢の中
愛する人
彼女は戻る ロメオのもとへ

〔ジュリエッタ〕
戻ってくるわ

〔コーラス〕
神よ 彼らを導き給え

〔ジュリエッタ〕
神よ 私を導いて

■シーンの感想と考察■

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」5幕1場、ジュリエットの見せ場の長台詞のシーンですが「亡霊たち」というフレーズなどはそこから来ていますね。
「私たちを役者にするのは何故?」というのも、どこかマクベスの台詞を彷彿とさせます。シェイクスピア的でとても好きなフレーズです。

「戻ってくるわ」というフレーズも印象的ですが、これは♪Morte di romeo(ロメオの死)でロメオが「僕はもう戻らないから」と歌うのが呼応しているように思えます。
「亡霊たち」はジュリエッタと同じ白いワンピース姿の女性たちが舞台両側、2階に現れています。2人を引き裂こうとしているというよりは、2人の再会を望んでいる、そしてジュリエッタを止めようとしているように見え、ジュリエッタとよく似た姿をしていることから、今までにジュリエッタのように叶わぬ恋に苦しんできた一族の女性たちのように見えます。沢山のジュリエッタたち。
カプレッティ夫人が望まぬ結婚をしたように、愛だけで想い人と結ばれることは少なかったであろう時代。女性たちは特に、縛られ抑圧され父親に、夫に従うほかなかったでしょう。そういう沢山の女性たちを亡霊として登場させているように思えます。




※注意事項(当note内共通)

・イタリア版ロミオ&ジュリエットのカンパニー、関係者の方々とは一切関係ありません。当noteの内容は1ファンによる訳であり、感想、スケッチですので公式の見解ではありません。

・私のイタリア語は超入門レベルです。1年半かけてなんとか訳しましたが、拙いものだと思います。間違いもあるかと思いますのでその点ご注意ください。

・当noteに掲載されたイタリア版のミュージカルナンバーの日本語訳のテキストや衣裳イラスト、平面図、3D画像などは筆者による訳でありイラスト作品ですので無断転載はご遠慮ください。

・それぞれの記事は公開後も随時内容を追加、修正などしていきます。ご了承ください。(テキストもイラストも時々修正・加筆されてる可能性があるので思い出したらまた見に来てくださると嬉しいです)

・記事中ではカンパニースタッフ、キャストの皆様のお名前を、イタリア語表記・カタカナ表記に関わらず敬称を略させていただいています。ご了承ください。

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