Verona Ⅱ(ヴェローナ リプライズ)

※この記事はミュージカル ロミオ&ジュリエットのイタリア演出版「Romeo e Giulietta ama e cambia il mondo」のDVD全編和訳とその感想、公演の情報やセット・衣裳などについてまとめたマガジンの一部です。シーンごとに記事を分け、投稿が古い記事から順番になっています。
※イタリア語の歌詞、台詞は掲載しておりません。記事前半はシーンの日本語和訳、後半はシーンの感想、考察で構成しています。


Giorno maledetto 

〔乳母〕
ジュリエッタ!ジュリエッタ!
お嬢様!お寝坊さんだこと!
今のうち、1週間分お眠りなさい!
明日の夜からはパリデ伯爵が、ほとんど寝かせてくれませんからね。
ジュリエッタ!起きてちょうだい。ジュリエッタ!
誰か!誰か!(※1)

〔カプレッティ夫人〕
何、何?どうしたの?

〔乳母〕
ご覧ください!
毒です!

〔カプレッティ夫人〕
私の娘…!

〔乳母〕
なんて呪われた日でしょう!


※1  直訳は「助けて!」

♪Verona Ⅱ(ヴェローナ リプライズ)

〔大公〕 
安らぎのもとで眠る者よ
穏やかで 甘い夢に包まれて
ここはヴェローナ

何を見ても驚かぬか?
卑しい悪徳 美徳はどうだ?
雷に心を打たれることはないのか?
ここはヴェローナ

そうだ ここも外の世界と変わらない
より悪くもない より良い訳でもない
今夜お前たちは この場所にいる
それはきっと 運命だろう

〔カプレッティ卿〕
私の子が死んでしまった!

〔大公〕
ここはヴェローナ
美しきヴェローナ
憎しみと狂気が治めてる
皆ここを立ち去らなくてはならない
ここに王の居場所など無く
2つの家がこの街の全て
どちらに着くかは選べない
定めなのだ 我々にも等しく

ここはヴェローナ
美しきヴェローナ
官能的で 悲劇的な街
その血が鏡となり映し出す姿は
道には花咲き乱れ
女たちが詩を紡ぐ
しかし その目に映る天国は
我々の内にある地獄

ここはヴェローナ

■シーンの感想と考察■

例によって曲前の台詞部分は原作通り。曲が始まってからのカプレッティ夫人の囁きは「起きて、目を覚ましてちょうだい」と言っています。

ヴェローナのリプライズ、決闘後ではなくこのタイミングで歌われます。決闘後は「人殺しを許すなら」の台詞で終わらせるインパクトを壊すことなく、またモンテッキ夫人の歌に入るのでヴェローナはこちらへズレたのですかね。
イタリア版は曲の構成などフランス再演(2010)版をベースにしているところが多いと感じますが、このタイミングでヴェローナリプライズを入れるのもフランス再演版と同じですね。
決闘で死んだ2人よりも更に罪のない少女が自害したことでヴェローナが生んだ悲劇を感じさせるという選択。また、カプレッティ邸の朝と同時に別の場所として大公を描くことでジュリエッタの死が街に知らされたことも分かり、この後のベンヴォーリオの行動への繋がりにもなります。

ラストの「ヴェローナ」を発する瞬間に、それまで留めていた涙をスッと流す大公殿下のお芝居の精密さ、熱さや強さの表現で魅せながら繊細な技術にドキッとしますね。ヴェローナという街を背負った人が、その名前を口にする時に込められた感情の重みが伝わります。




※注意事項(当note内共通)

・イタリア版ロミオ&ジュリエットのカンパニー、関係者の方々とは一切関係ありません。当noteの内容は1ファンによる訳であり、感想、スケッチですので公式の見解ではありません。

・私のイタリア語は超入門レベルです。1年半かけてなんとか訳しましたが、拙いものだと思います。間違いもあるかと思いますのでその点ご注意ください。

・当noteに掲載されたイタリア版のミュージカルナンバーの日本語訳のテキストや衣裳イラスト、平面図、3D画像などは筆者による訳でありイラスト作品ですので無断転載はご遠慮ください。

・それぞれの記事は公開後も随時内容を追加、修正などしていきます。ご了承ください。(テキストもイラストも時々修正・加筆されてる可能性があるので思い出したらまた見に来てくださると嬉しいです)

・記事中ではカンパニースタッフ、キャストの皆様のお名前を、イタリア語表記・カタカナ表記に関わらず敬称を略させていただいています。ご了承ください。

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