Duo della disperazione (神はまだお見捨てにならない)

※この記事はミュージカル ロミオ&ジュリエットのイタリア演出版「Romeo e Giulietta ama e cambia il mondo」のDVD全編和訳とその感想、公演の情報やセット・衣裳などについてまとめたマガジンの一部です。シーンごとに記事を分け、投稿が古い記事から順番になっています。
※イタリア語の歌詞、台詞は掲載しておりません。記事前半はシーンの日本語和訳、後半はシーンの感想、考察で構成しています。


Questa è tortura 

〔神父〕
ロメオ もう泣くな

〔ロメオ〕
悲劇だ!
天国はジュリエッタのいるこの地なんだ!
犬や猫、もっと取るに足らない生き物だって、
ジュリエッタを想うことができるのに、
なのにロメオには駄目!ロメオには許されない!

♪Duo della disperazione(神はまだお見捨てにならない)

〔神父〕
追放の身に お前を送り出す
法はお前を守ってくれた
この街の半分が
お前の血を 望んだのだぞ

そしてあなたは あなたの息子を失った(※1)
あなたは これ以上ご存じないでしょう

ああ 神よ 
私たちは
こんなにも
私たちは
残虐な人でなし
ああ 神よ
私たちは
我が主よ

しかしあなたは どれほどの血を望まれるのか
あなたが私たちに気付く その前に

〔神父、乳母〕
神よ 何故この世界に
我々を産み落とし
その果てに見捨てるのです
あなたの息子たちを(※2)
苦痛の地獄の中で

〔乳母〕
物事も決して
私たちの望むようにはならない
ジュリエッタはもうすぐ知るのよ
その内容を 私はもう知っている
そしてあなたは泣いて 泣いて
私の可愛い子
あなたの痛みは私の痛み

〔神父、乳母〕
神よ
私たちは
こんなにも
私たちは
残虐な人でなし
ああ 神よ
私たちは
我が主よ

しかしあなたは どれほどの血を望まれるのか
私たちの間へ降りてくる その前に
神よ 何故この世界に
我々を産み落とし
その果てに見捨てるのです
あなたの息子たちを
そしてまた 青年が1人死んでゆく

神よ
私たちは
こんなにも
私たちは
残虐な人でなし
ああ 神よ
私たちは
我が主よ

しかしあなたは どれほどの血を望まれるのか
あなたが私たちに気付く その前に
神よ 何故この世界に
我々を産み落とし
その果てに見捨てるのです
あなたの子供たちを
苦痛の地獄の中で

〔神父〕《乳母》
神よ(神よ 私たちは)
私たちは
こんなにも(こんなにも)
私たちは(私たちはこんなにも)
残虐な人でなし(残虐な人でなし)

〔コーラス〕
ああ 神よ
私たちは
我が主よ
しかしあなたは どれほどの血を望まれるのか
私たちの間へ降りてくる その前に
神よ 何故この世界に
我々を産み落とし
その果てに見捨てるのです
あなたの子供たちを
そしてまた 若者が1人死んでゆく

※1、※2 「息子」は「子供」とも取れ男性に限らないが、死んだのが2人とも男性なのと、神に対して「失った子供」と言うのはイエスを連想させることもあるため息子とした。ただ、メルクーツィオとテバルドに限らない社会の犠牲になった子供たちという意味も捨てきれないため後半では同じフレーズに「子供」の訳を当てている。

■シーンの感想と考察■

日本版と内容違いすぎてびっくりしました。イタリア版を先に見たものの、歌詞の内容はほんの一部しか分からない状態の時に日本版を観たので意味を理解できる状態でこの曲に触れたのは日本版が先なのですが、歌ってる人も状況も同じなのに内容が違いすぎる…。
日本版は「メソメソしてないで初夜のベッドに行ってこい(要約)」って曲だったのに…初夜の話なんか全く出てこないし、ロメオに歌いかけているのは冒頭だけで、曲の大部分は神への問いと自分たちの愚かさの嘆きですね。ちなみにタイトルは「絶望のデュオ」です。日本版は歌詞に「希望を持とうよ」とあり、逆だなと思うと分かりやすいかも?初夜行ってこいソングと呼んではいけません(自戒)
イタリア版歌詞の
「我が主よ
しかしあなたは どれほどの血を望まれるのか
私たちの間へ降りてくる その前に」
「私たちの間に降りてくる前」というのは最後の審判までの間にということですね。

乳母がジュリエッタを思い
「そしてあなたは泣いて 泣いて
私の可愛い子
あなたの痛みは私の痛み」
と歌う時にカメラは、ロメオを見つめる神父を映します。このカメラワークはおそらく乳母のジュリエッタへの思いを神父からロメオへの思いとしても同じように聞けるということでしょう。
この推測はおそらく合っていると思うのですが、何故ならDVD収録である初日公演ではない舞台写真を見ていると、このシーンで乳母の足元にジュリエッタがうずくまって泣いている写真を見かけるのです。
いつからかは分かりませんが、収録日以降でこのシーンに乳母からジュリエッタに事の次第が伝えられる演出が加わったのではないでしょうか。そうすると舞台上の構図は階段の上と下で乳母の足元にうずくまるジュリエッタ、神父の足元にうずくまるロメオという絵になります。
2つのシーンが同じ構図を描いて重なるようになり、より分かりやすくなりますね。

しかしこの段階で自分たちの愚かさに気付いていた大人たちがいながら更なる悲劇を招いてしまうのはやりきれないです…。




※注意事項(当note内共通)

・イタリア版ロミオ&ジュリエットのカンパニー、関係者の方々とは一切関係ありません。当noteの内容は1ファンによる訳であり、感想、スケッチですので公式の見解ではありません。

・私のイタリア語は超入門レベルです。1年半かけてなんとか訳しましたが、拙いものだと思います。間違いもあるかと思いますのでその点ご注意ください。

・当noteに掲載されたイタリア版のミュージカルナンバーの日本語訳のテキストや衣裳イラスト、平面図、3D画像などは筆者による訳でありイラスト作品ですので無断転載はご遠慮ください。

・それぞれの記事は公開後も随時内容を追加、修正などしていきます。ご了承ください。(テキストもイラストも時々修正・加筆されてる可能性があるので思い出したらまた見に来てくださると嬉しいです)

・記事中ではカンパニースタッフ、キャストの皆様のお名前を、イタリア語表記・カタカナ表記に関わらず敬称を略させていただいています。ご了承ください。

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