Quando(いつか)

※この記事はミュージカル ロミオ&ジュリエットのイタリア演出版「Romeo e Giulietta ama e cambia il mondo」のDVD全編和訳とその感想、公演の情報やセット・衣裳などについてまとめたマガジンの一部です。シーンごとに記事を分け、投稿が古い記事から順番になっています。
※イタリア語の歌詞、台詞は掲載しておりません。記事前半はシーンの日本語和訳、後半はシーンの感想、考察で構成しています。


♪Quando(いつか)

〔ロメオ〕
まだ20にはならない
色んな恋をしたけれど
女の子たちは皆
僕に溜息もついてくれない
僕をとても慕ってくれるけど
僕は彼女たちを 愛してはいない
そして皆 僕から目を逸らして
その瞳に涙を溢れさせてしまう
彼女たちの身体に
僕は何も与えずに
それは冷たい炎でしかない
愛はいつ やってくるのだろう

〔ジュリエッタ〕
愛 それは何?
まだ幼い私の日々に
その日がいつか やって来る
でもその日を私は知らないわ
人生とは何かしら
私にはまだ 始まったばかり
でも せっかちな風が
私を巻き込んで
まるで海のように
ここ この心の中で
夢で聞いた歌が
愛はいつ やってくるの

〔ロメオ〕
いつ その名前はいつ やってくる
その声はいつ 訪れる

〔ジュリエッタ〕
いつ その手はいつ 伸ばされる
その口づけはいつ いつ 訪れるの

〔2人〕
いつ キューピッドの弓は
この心を狙うのだろう
いつ その傷みを知るのだろう
太陽の熱に触れるように(※1)
いつ 全身の血は通い
この美しい想い
狂うほどに
この気持ちよりもっと強く
それでもきっと耐え抜ける
死んだりはしない
それはいつ 

もうすぐに
2人は愛を誓い合う
結末はその人と共に
この世界から飛び出そう
歌声を追いかけて
どんな嵐も超えて
時を止めよう
いつまでも

それはいつ

※1 直訳は「太陽の告知/アナウンス」。直前の傷みというワード、後に続く「全身の血〜」に合った流れになるように「太陽の熱に触れる」という表現にした。

■シーンの感想と考察■

ほかの国のバージョンと一番違うところはタイトルでもありサビでもある「Quando(いつ)」というフレーズ。英訳すればWhenで、日本語版の「いつか」Some dayではないというところだと思います。フランス版のタイトルも確認したのですが「Un jour」One dayなので日本語の方に近いですね。

内容的には大きく変わることはないと思うのですが、「いつか」やってくるその日を夢見ている印象よりも「その日はいつやって来るの?」という問いがメインになるため待ち望んでいる度合いが高く感じられるというのはあると思います。

2人の世界を隔てている巨大な壁が、作品のテーマを分かりやすく見せてくれています。曲が進むにつれてその壁がなくなるのも素敵。
ロメオはこの段階でロザリーナに片想い中、というよりも一向に振り向いてくれない彼女に傷心中で、どうやらその前にも沢山の女の子と恋をしてきた恋多き青年らしいということが分かります。そして、熱しやすく冷めやすい、移り気、惚れっぽいと捉えてしまいそうですが、この歌詞を見るに恋をしてはみるけれど、どこか求めるものと違うそれに満足できず、本物の愛を探し求めているといったところでしょう。落ち着きところを求めて色々な花に恋をしてみては何か違う…を繰り返しロザリーナには相手にされないロメオ。モテモテの王子様タイプのロミオ像も多く見かけますが、私はそれよりも恋に恋する平凡な男の子なロミオ像の方が2人の「運命」感を強く感じられて好きなのでダヴィデの役つくりは大変魅力的だと思います。声の柔らかさも相まって純朴な優しい内面にジュリエッタや友人たちが惹かれるのも納得です。

ジュリエッタはここが登場シーン。紗幕越しに腰掛けた姿で登場し、伸びやかで芯のある歌声を聴かせてくれます。
「愛 それは何?
まだ幼い私の日々に
その日がいつか やって来る
でもその日を私は知らないわ
人生とは何かしら
私にはまだ 始まったばかり」
このジュリエッタの歌い出しの歌詞、とても綺麗で大好きです。幼く、しかし好奇心旺盛で外の世界に目を輝かせている、社交界へ出る直前の少女。そんな彼女のキャラクターが示される部分でジュリエッタの可愛らしさに一気に引き込まれます。




※注意事項(当note内共通)

・イタリア版ロミオ&ジュリエットのカンパニー、関係者の方々とは一切関係ありません。当noteの内容は1ファンによる訳であり、感想、スケッチですので公式の見解ではありません。

・私のイタリア語は超入門レベルです。1年半かけてなんとか訳しましたが、拙いものだと思います。間違いもあるかと思いますのでその点ご注意ください。

・当noteに掲載されたイタリア版のミュージカルナンバーの日本語訳のテキストや衣裳イラスト、平面図、3D画像などは筆者による訳でありイラスト作品ですので無断転載はご遠慮ください。

・それぞれの記事は公開後も随時内容を追加、修正などしていきます。ご了承ください。(テキストもイラストも時々修正・加筆されてる可能性があるので思い出したらまた見に来てくださると嬉しいです)

・記事中ではカンパニースタッフ、キャストの皆様のお名前を、イタリア語表記・カタカナ表記に関わらず敬称を略させていただいています。ご了承ください。

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