【経理目線👀】決算早期化 普通預金 #002
決算業務にかかわるすべてのみなさん、こんにちは。i.s(公認会計士)です。前回の小口現金に引き続き、今回は普通預金の管理が決算早期化にどうつながるか、経理目線でご紹介します。
1. 口座数
会社が事業を行ううえで、銀行口座の開設は必須です。さすがに毎回、手元の小口で決済するわけにはいかず、この事実はどうにもなりません。また、口座には種類があり、普通預金、当座、定期、借越設定が付くものがありますが、経理目線で見ると預金口座の数は少ない方がありがたいです。
とはいえ業態により、海外取引があれば、ドル建、ユーロ建等の外貨口座が必要です。
一方で、月次決算の工程は、預金締めが最初(もしくは小口の次)に来ることが多いのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、以上を踏まえ今回は以下の経理ご担当者に向けて書いていきます。
・預金の月次締め切りが早い
にもかかわらず、
・規模の割に口座数が多い
ちなみに、私は現預金締めに5営業日かけた経験があります。
先輩に「月次の最終締めまでにはなんとかします!」と堂々と言ってました。決算の流れがまったく分かっていなかったことがよくわかるエピソードですよね…
それでは、どうぞよろしくお願いします
2. そもそも、預金締めが遅れると?
素朴な問いかけですが、そもそも現預金の締めが遅れると一体どうなるのでしょう。
正直、影響先が多く明確にコレだけ!とは言い難いのですが、1つ言えるのは債権債務の管理が遅延します。これには以下の観点で問題があります。
・延滞債権の督促
・支払漏れチェック
なお、上記2つはそれぞれ
・キャッシュフロー
・会社の信頼
に関わる問題です。
例えば、債務の管理。
現預金を第1営業日に締め債務チェックに入る状況か、それとも第5営業日に締めてチェックに入るかで時間軸が異なります。万一、月末の支払い漏れがあったとして、現預金を1営業日に締めた場合、もしかするとサプライヤー側の入金確認前にこちらが支払い漏れに気づきけるかもしれません。傷口を最小限に食い止められる可能性があります。
3. 追いかける側に回る
なかなか攻撃的な見出しですが、お伝えしたいことは#000_小口現金の記事で申し上げた「いかに先回りして上流工程に食い込めるか」に通じます。
経理ご担当者の方は、決まった時間に所定のWeb Bankingにアクセスし、各口座の取引明細をダウンロードされているかと思います。その際、取引が1つも見当たらなかった場合、どう思われますか。
・ラッキー!現預金の仕事ない!
・仕訳ゴリゴリ切りたかったのに…
・前月は同じ日に取引が大量にあったはず。おかしいな?
・あれ、XXから入金(or 引落し)があるはずなのに。
下に行くほど、望ましい形ですよね。現預金の明細確認もゲーム感覚でクリアするイメージがベストだと思うのですが、いかがでしょう?
4. 安易な仮払い、仮受処理
ここで1つ留意頂きたいのですが、貸借の片側である現預金を合わせる目的で、とにかく仕訳を切ればいいわけではありません。相手勘定を「仮払金」「借受金」で処理する衝動に駆られまずが、残念ながら月末に処理を先送りするだけです。
当たり前かもしれませんが、心を鬼にして地味につぶしていきましょう!
5. 現預金は日次決算
またまた刺激的な見出しです。
現預金は「日次決算」
思い切ってやってみませんか?
一昔前とは違い、15時以降の入金もいまでは日常かもしれません。ですので、厳密には「日次決算+1」ぐらいでしょうか。
特に五十日(ごとうび)あたりは、ハードル高いですよね。
とはいえ、1か月の営業日のうち、預金の「日次決算+1」が何度達成できるか。いきなり、毎営業日を完璧にこなす必要はないと思います。少しずつ習慣化できればと思って頂けると嬉しいです。
最終営業日を迎える日、現預金は当日取引だけをつぶせばいい状況を想像してください。経理担当者にとっては憂鬱な月初の風景が少し変わる気がしませんか?
6. まずは社内で話してみる
ここからは具体的な話です。
まず、現預金の日次締めを成功させる要素を以下3つに分解します。勘の鋭い方はこれだけで、To Doが見えたかもしれません。
・対象口座の数
・明細取込
・入出金の取引照合
1つずつ見ていきますね。
・対象口座の数
冒頭でもふれましたが、口座数が1つ減るだけで預金締めの負担は減ります。とはいえ、そうは簡単にいかないケースがほとんどです。
会社の規模や年数にもよりますが、単体だけでも取引先銀行が5行、口座が10個前後の場合も珍しくないのではないでしょうか。
具体的には、以下のパターンが考えられます。
・内部統制上、入金と出金に2つ
・給与と社員精算の出金に2つ
・買掛の支払口座も別に1つ
・海外被仕向け用の通貨別口座
・借入見合いの定期預金口座
そもそも、口座数を減らすというミッションは、かなりハードルが高いです。
そのうえで、あえて切り込むとすると、
・出金口座の一本化
・被仕向け口座
・定期の解約
詳細は個別の会社状況によりますし、繊細な部分です。あまり決まりきったことは言えません。
しかし、以下の可能性は探れないでしょうか。
・円貨の出金口座は最大2つ
・被仕向けの顧客が限定的であれば、円建取引の可能性を交渉
・定期残高を普通口座に振替え、保有残高の設定を銀行側と交渉
そしてもう1つ。
上記にはありませんが、
・休眠口座の解約
こちらはかなりの確率で閉鎖できるはずです。一年間の動きが利息だけという口座がないか、念のため確認してみてください。
繰り返しで恐縮ですが、事業運営において銀行との取引関係はとても重要かつ、繊細です。
銀行側と交渉する前にまずは
・社内で口座開設の経緯をヒアリング
して見ましょう。
「この口座ってどういう経緯で開設したんでしたっけ?」
思わぬ発見があるかもしれません。
ここまで書きましたが、このペースでいくとかなりの長文になることに気づきました…。
以下の2つ、今回はスキップしますが、あらためて別記事で投稿しますね!すいません!!
・明細取得
・入出金の取引照合
7. まとめると
つらつらと書きましたが、
口座数に関してまずやるべきことは、
・現預金の日次決算を意識
・利息取引のみの口座有無を確認
・各口座の開設経緯を社内ヒアリング
いかがでしょう?
初手として、なんだかできそうと少しでも思って頂けると嬉しいです!
8. コミュニケーション能力
行動することで、思いもよらない情報が出てくるかもしれません。
例えば、財務の担当者に銀行取引について少し話を伺ってみてください。もしかすると、口座の一本化につながる情報が得られるかもしれません。
仮にそうでなくとも、あなた(経理)の取り組みが共有され、今後有用な情報を提供してくれるかもしれませんよね。
さらに経理仕訳は、取引が発生しなければ記帳できませんが、
取引の元となる情報は、いくらでも先回りして得てもいのです!
上流までさかのぼり、積極的に情報をとっていくことで、コミュニケーション能力をアピールできるはずです。
9. 最終営業日に現預金が締まる
これまでの取組みを継続頂ければ、最終営業日に現預金は締まります。もちろん、簡単なミッションではありません。それでも目指す価値はありますよね!
第1営業日の朝、現預金が締まった状況を想像してください。決算日程の進行が早まりませんか。
こんなれば、
・朝イチから、支払請求書を処理
・営業部の売上処理の進捗を確認
月次決算の最初の工程が現預金締めの会社は多いと思います。スタートで半歩どころか、1営業日まるまる余裕を生み出すことができる。決算早期化に必ずつながります。
最後までお読み頂きありがとうございました!
note投稿。まだまだ勉強中です。上から目線にはならないよう、あくまで経理目線で気を付けたつもりです。気に障る表現があれば、ご指摘いただけるとありがたいです。
次は売掛金でお会いします!
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