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『異なるアプローチ、結局は同じ結末説』①分割法と全身法の違い

筋トレの世界は、数多くのアプローチが存在しますが、最終的には同じような結果が得られる。
それが「異なるアプローチ、結局は同じ結末説」です。

唐突に始まったこのシリーズは、博士号(体育科学)を持つ科学者で、パーソナルトレーナーでもある筆者が論文をもとに、様々なトレーニング方法の効果を探っていきます。
また、このシリーズでは、最低限の科学性を保ちながら、時には若干飛躍的な主張も交えつつ、読者がトレーニングを続ける意欲を高めるためのエビデンスを提供します。
筋トレ愛好家や初心者の方々にとって、本シリーズが新たな視点を提供し、トレーニングをより楽しく効果的にする手助けとなれば幸いです。

早速、今回触れる論文はこちらです。
Evangelista, A. L., Braz, T. V., La Scala Teixeira, C. V., Rica, R. L., Alonso, A. C., Barbosa, W. A., Reis, V. M., Baker, J. S., Schoenfeld, B. J., Bocalini, D. S., & Greve, J. M. D. (2021). Split or full-body workout routine: which is best to increase muscle strength and hypertrophy?. Einstein (Sao Paulo, Brazil), 19, eAO5781. (CC BY 4.0) https://doi.org/10.31744/einstein_journal/2021AO5781

この研究は、実験開始時に筋トレを実施していなかった若年男性を2群に分け、10週間のトレーニング実験(トレーニング期間:8週間、テスト期間:計2週間)を通じて、全身法と分割法のトレーニング効果を比較しています。

全身法は週4回全身のトレーニングを実施しました。
一方の分割法では、週2回が胸・肩・上腕三頭筋、週2回が脚・背中・上腕二頭筋のトレーニングを行いました。
各筋群の総負荷量を揃えるために、
全身法は各筋群当たり4セット(4×4回/週=16セット)、
分割法は8セット(8×2回/週=16セット)、
のトレーニングを行っています。

結果は、週当たりのセット数が同じであれば、効果に大きな違いが見られませんでした。

動的筋力を表す指標に関しては、
スクワットの1RMが
全身法グループでは89.8kgから115.4kgに増加し、
分割法グループでは85.5kgから109.5kgに増加しました。
また、ベンチプレスの1RMが
全身法グループでは63.8kgから74.9kgに増加し、
分割法グループでは56.4kgから67.4kgに増加しました。
いずれも交互作用は見られませんでした。
交互作用が見られないことは、2つ以上の要因が組み合わさったときに、それらの要因が互いに影響を及ぼさない状態を指します。
例えば、今回の場合、トレーニング方法が違っても、他の要因(トレーニング前orトレーニング後)が同じであれば、動的筋力の変化に群間差がなかったということです。

筋肥大の指標である筋厚に関しては、
上腕二頭筋、上腕三頭筋、大腿直筋、外側広筋の筋厚が両群ともに増加しました。
こちらも交互作用は見られませんでした。

この研究から学べることは、トレーニングの効果には一貫性があり、個々の方法論(全身法or分割法)が違っても、結局は同じ効果が導かれることです。
(週当たりのセット数やトレーニングの総負荷量がある程度一緒という条件付)
ということで、『異なるアプローチ、結局は同じ結末説』を支持する研究の紹介でした。

目標を達成するためには、自分が続けられるアプローチを見つけ、取り組むことが重要です。  
一度に同じ種目を沢山やることが苦手な人は全身法でスパッと種目を変えてやりましょう。
一度に同じ種目を沢山のセット数こなすことが得意な人は分割法で局所的に追い込んでいきましょう。

執筆家としての活動費に使わせていただきます。