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0056:公務員の副業

同人誌販売し利益175万円 県内教諭を処分 地方公務員法違反(高知新聞)

 こんなニュースが飛び込んできた。7年半で175万円の利益なので、年平均23万円余り、参考まで月に換算すると2万円弱で、決して大きな額ではない。もちろん経費を含めた売上ベースでは6~8倍くらいが見込まれる。

 私も漫画・アニメ好きなので、表現者の衝動でこうした活動をしている当人にはむしろ応援したい気持ちがある。問題は「地方公務員法違反」、今回問題となったのは以下の条項だ。

地方公務員法
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

 肝は「任命権者の許可」にある。国家公務員を含め(国家公務員法第103条)営利事業への従事そのものは確かに「原則として」禁じられている。許可を得れば問題は起きない。この条項は、公共の福祉のために活動する公務員の身分と私的営利性とのバランスを取るために定められている。公務とバッティング(利益相反)するものや、単なる副業(利益を得ることが目的の業)であれば、許可は出ない。個人の知見を生かした原稿執筆や講演、農業等の家業に従事する場合などは、許可される。今回の事件のような同人活動も、きちんと申請していれば許可された筈だ。

 うちの役所では、謝金・報酬・原稿料等の名目を問わず、役所の給与以外に収入の発生する場合は全て承認申請しなければならない。私は時折原稿料等をいただくのだが、原稿依頼の都度に申請をしている。また家業を継ぐ際にも法人給与が発生するので申請した。もちろん確定申告をしている。(ちなみに副業=従たる給与の源泉徴収税額は乙表該当なのだが、公務員給与の方が圧倒的に大きいので従たる給与の源泉徴収に不足が生じ、結果的に確定申告で所得税を数万円追納している……もしかして何か計算間違ってる?)

 私は昔からこの仕組みを知っていたから遺漏なく手続出来ているけれど、鉦や太鼓で庁内に制度を周知しているわけではないので、知らずに法令違反を犯している公務員って実はいるのだろう。それが何かの拍子に明らかになると、懲戒処分の対象となる。有名な法諺「法の不知はこれを許さず」は、ここでも当てはまる。だからこそ人事部門は、こうした仕組みなのだと職員に繰り返し伝達しておく必要がある。

■本日摂取したオタク成分
『エール』本日分、華ちゃんも古山家の娘らしいキャラだよねえ。本作はこの登場人物たちへの好感度の高さが素晴らしい。

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