0112:慣性の法則

 日本でコロナの影響が出だしたのは1月の終わり頃だったか。3月に予定していたイベントの案内を出して早々に中止を決めた。今年度もイベント系は軒並み中止、代わりに直撃業務(といっても真の直撃部門は他にあるのだが)に携わる日々だった。

 日本社会が近年経験していない非常事態だから仕方の無い部分もあるのだが、感染予防の為の締め付けと、経済復興のためのイケイケの両極に政策が大きく振れる、そのタメは決して万全とはいえない。緩めるべきタイミングに締め続け、締めるべきタイミングに緩みっぱなしにして、ヤバくなるとまたブレーキを踏む。でも、結果論ではあるのだ。行政施策には間違いなく慣性の法則が働く。公衆衛生と経済という背反する、しかしどちらも極めて重要な命題の間で、一方に重心を置くと他方に重心を移すことが迅速にはできず、ようやく移したら勢いがついて逆方向へ戻すことが難しい。後から振り返れば「あの時にブレーキを踏んでいたら」「あそこでアクセル全開にすべきだった」ということを指摘するのは容易だ。事態の渦中で完璧に理想の動きをすることは、おそらく誰が政治のトップでも、無理だ。

 ただ、相対的にマシな判断は、あり得る。誰が組織のトップか、組織内の要所で誰が判断権を持つか、ということが、危機の時ほど命運を分けることになる。なんてことを言えるのも自分が要所にいないからだ、というのもまた確か。

■本日摂取したオタク成分
『世界名作劇場完全版 母をたずねて三千里』、本編は昔観たんだったかどうだったか。まあ一年分を90分にまとめてるんで、色々展開が早い。テレビを観た人が総集編を愉しむ、という需要には向くが、初めてこれを観て終わりというのは勿体ない感じがあるな。

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