0122:公務員から政治家への転身

 どのような人が政治家になるのか。統計データは踏まえていないけれど印象でいえば家系政治家は多い。親や祖父母が政治家で(と書いて「祖母が政治家だった」という人っているっけ、と思ってしまった)、その地盤を世襲するパターンだ。政治家の子は、そもそも後を継がせる気なら秘書として経験を積ませるし、そうでなくとも高度な教育を与えて優良企業でサラリーマン経験をすることは有益なことだ。経済界での世襲から政治へ進む人もまた多い。経済界は政治と密接に結びついているから、自民党系を中心として人脈もばっちりだ。

 そんな中で、公務員から政治家に転身する例もある。財務・経産から国政へ、総務から自治体首長へというパターンが多い。官庁の中で幹部まで上り詰めてからということも、出世に見切りを付けて若い内に役所を飛び出してということもある。うまく根回しができて選挙で当選する場合もあれば、落選の憂き目もある。まさにいろいろだ。

 公務員から政治家になることについて、国民住民から観て、どちらかといえばメリットの方が大きいと私は考えている。政治家は役所を動かす。その役所の勘所を分かっている政治家なら、何が可能で何が不可能か、何が役所の怠慢で何が改善できるのか、逆に何が困難なのかが見えている。公務員経験から公共政策についての視点も一定のものが培われていると一般的に思っていい。
 その上で、政治家としてのセンス──つまり選挙民に支持されるかどうかは、また別問題だ。こればかりは政策形成能力とは異質な世界だ。政治家には、選挙に当選するための感性と、当選後に選挙民に幸福をもたらす知性の、両方が必要になる。

 近年で「これは凄い」と思わされたのは、やはり和歌山県・仁坂吉伸知事の新型コロナウイルス関連の発信だ。とても理性的な内容を、とても分かりやすく、借り物ではなく自分自身の言葉で語る能力の高さと誠実さ。最初に彼の文章を読んだ時に「知事にこんな人がいたのか」と真っ先にプロフィールを確認すると、経産省出身者だった。地方の首長に中央省庁(総務省に限らず)出身者が就く例は多い。もちろんその背景には地元政界の支持がある。その支持を取り付けるだけの貢献が必要で、いわば政治は情動の世界だ。そこを潜り抜けてこれだけの知性と誠実さを表現できるのは、凄い。彼に信頼される和歌山県庁職員のモチベーションは高いだろう。一公務員として素直に羨ましい。

■本日摂取したオタク成分
『甲鉄城のカバネリ』第2~3話、なるほどこう展開してきたか。表現密度が高い。『極主夫道』第7話、今回もわろたー。元々原作を読んでいたのでドラマのオリジナル要素は分かっている。そこが素敵。春にはアニメ版も出てくるけど、ドラマとは別の脚色をどう入れてくるか楽しみだ。

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