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十代の頃からアラカンの今に至るまで続いている趣味・小説創作。noteでエンターテインメント公務員小説「やくみん!お役所民族誌」執筆を開始したのを機に、そのドラフトやアイディアメモ…
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0778:小説『やくみん! お役所民族誌』[23]

0778:小説『やくみん! お役所民族誌』[23]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」
[23]澄舞と東京、姉と弟

<前回>

        *

 インターンシップ二日目午後。午前中に検討した法令違反事例をもとに30分ほどディスカッションを続けた頃、二階堂に電話が入った。
「ちょっと外します。その間、そうね、明日作る啓発素材について二人で相談してて」
 二階堂がパーティションの向こうに姿を消すと、みなもは隣の小室に

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第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

【前回】

[18]子と親と        *

 ブッさんの知る限り、これまでの候補者面談はせいぜいが30分程度だった。つまりそれまでに哲さんが相手を見限ったということだ。しかし、香守充に対する面談は1時間を超え、2時間に迫ろうとしている。
 面談当初に比べれば、充の様子はかなりほぐれた。哲さんは充に対して支配的に振る舞わない。充のどのような発言も受け止めて、ボールを投げ返す。コミュニケーション

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0511:(GaWatch書評編011)大島義則『新人弁護士カエデ、行政法に挑む』

0511:(GaWatch書評編011)大島義則『新人弁護士カエデ、行政法に挑む』

 小説形式で何事かを解説するスタイルは、筒井康隆『文学部唯野教授』やヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』がベストセラーとして思い浮かぶ(昭和人なので例示が古いのはご容赦)。小説だけでなく、量的にはむしろコミック形式のものが相当に多く、私の子供の頃から日本史・世界史の漫画版はあったし、ベストセラーとなった石ノ森章太郎『マンガ日本経済入門』(昭和人なので以下略)は大人の学習マンガを確立したといえる

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0505:モノなしマルチ商法

0505:モノなしマルチ商法

 最近、知人からあるネットサービス○○に出店しないかとのお誘いがあった。かなりの勢いでプッシュしてきて、「自分はやっていて商品が足りなくなるくらい売れている」「楽天やAmazonは収益を自分のポケットに入れているが、○○は皆に分け与えている」「みんなが儲かるから、絶対やった方がいい」「この仕組みはどんどん広がる筈だ」とのこと。

 うーん、まあ、ピンと来るよね。

 ググってみると、○○についての

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0432:やくみん覚え書き/さおだけ2本でニーキュッパ

 竿竹の訪問販売という古典的悪質商法で逮捕者が出た。「竿竹2本でニーキュッパ」と売り歩いて、2,980円だと思った人が声を掛けたら実は29,800円でキャンセルは効かないと凄み、物干し台込みで40万円で売りつけ立ち去ったという。もうほんと古典的押し売りだ。

 若い人は知らないかも知れないが、昔、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がベストセラーになった。車で竿竹を安値販売してなぜ商売が成り

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0368:やくみん覚え書き/悪いことするから規制する

0368:やくみん覚え書き/悪いことするから規制する

 昔、歴史系の何かの授業を受けていた時に「律令や法度など古い法令には、現代の目から見ると奇妙なものが含まれている。実際にそういう事をする人が存在したから、それを規制する法令が制定される。だから法令を読み解くと、当時の世の中が分かる」という話を聴いたことがある。

 今回民法の勉強をしていると、詐欺だの強迫だのはもとより、状況につけ込んで自分の利益にしようと行動した第三者や転得者などがいた時にどのよ

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