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読書感想文 1

【失敗の本質】
1984年の出版、文庫化が1991年ですから文庫になってからでも29年近く、これ71刷でした。
超ロングセラーというか、ベストセラーというか、もはや古典と言っても良い名著ですが、未読でした。
最近のコロナ禍によりまた注目されており、読んでみました。

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この本は、第二次世界大戦における日本軍を研究対象とし、日本とアメリカは国力に差があるので負けは仕方ないにしても、局所での戦闘においてミッドウェー海戦のように戦力的に日本有利の状態から負けたり、インパール作戦のようにあまりにも一方的な負け方をしていることがある。今まではそれを指揮官が無能だったと人の能力に帰結させがちだったが、そもそもそういう「失敗」が起きるのには「日本軍」という組織に「失敗」を誘発してしまうなんらかの要因があるのではないかという組織についての研究です。

うーん、鋭い!
とても30年以上前の研究とは思えません。現代の日本の組織でもあるあるです。
よく考えれば、日本の企業って戦前から存続している企業も多いですし、戦後の企業も創業者が軍隊経験者のことも多いでしょうから、多分に旧日本軍と同じ組織的傾向を持っているんでしょうね。
そして日本軍は組織として、当然長所も短所もあったわけですが、米軍にうまくやり込められた原因のひとつが「自己革新能力」の欠如。
日々進歩する兵器や戦術、刻々と変わる戦況や彼我の戦力差などの変化に適応できなかったのですね。
※陸軍は白兵銃剣主義→火力重視の時代へ、海軍は艦隊決戦主義→航空戦、海兵隊の揚陸作戦、潜水艦の通商破壊の時代へ

そして、今、新型コロナウイルスにより社会が大きく変化しました。わずかな期間であっという間にzoomなどの会議システムを使った会議や商談が一般化。テレワークを行う企業も増加しました。さて、この大きな変化についていくことができるか?
今、またこの本が読まれている理由がわかる気がします。

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