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日本人の睡眠時間はやっぱり7時間?

日本人の平均睡眠時間は何時間でしょうか。
答えは、7時間です。

ただし、7時間がその人にとって十分な睡眠時間かどうかは分かりません。
必要睡眠時間は個人差が大きいからです。
ですので、以下に紹介する睡眠時間は、あくまで日本人の「平均」睡眠時間だということを理解しておいてください。

また、巷には様々な睡眠に関する情報があふれています。
しかし、玉石混交といった状態で、果たしてどの情報が正しいのかは一見するとわかりません。
このnoteでは、医師の目線から、信頼に足るデータをご紹介していきます。

まずは、日本人の平均睡眠時間に関する調査結果として、以下の4つの公的機関の研究を紹介します。

  1. NHK放送文化研究所(2020年) 平日:7時間12分 土日:7時間54分

図1 睡眠時間(男女年層別 平日)

(引用:https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-jikan/column/sleep-2020.html)

上のグラフは、平日の、男女別、年齢別の睡眠時間です。
40代、50代の働き盛りの年代の睡眠時間が短いことがわかります。
また、男性は7時間20分、女性は7時間6分と、女性の方が睡眠時間は短いです。
さらに、土日は45分ほど睡眠時間が延長し、土曜日が7時間46分、日曜が8時間2分という結果でした。

2. OECD(経済開発協力機構)(2021年) 7時間22分

https://www.asahi.com/relife/article/14690139

OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関です。上図は、そのOECDが2021年に発表した先進国を中心とした33か国の睡眠時間の表です。
日本は平均睡眠時間が7時間22分の結果となり、33か国中で最下位となりました。
また、OECD加盟国の平均睡眠時間は8時間25分でした。
結果、日本は先進国の中で最も睡眠時間が短い国という結果となりました。

3.国民健康・栄養調査(2019年) 7時間未満:男性 70.2%, 女性 76.8%

睡眠時間(男女年層別)

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

4.社会生活基本調査(2021年)7時間54分

男女、主な行動の種類別生活時間(2001 年~2021 年)-週全体

https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf

社会生活基本調査は、総務省が5年おきに行っている調査です。
統計法に基づく基幹統計『社会生活基本統計』を作成するための統計調査であり、生活時間の配分や余暇時間における主な活動の状況など、国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的としています。

ここまでの調査結果は、公的機関が発表しているものです。
まとめると以下となります。

1.平日:7時間12分 土日:7時間54分
2.7時間22分
3.7時間未満:男性 70.2%, 女性 76.8%
4.7時間54分

1,2,4の研究では、平均睡眠時間が7時間を超えているものの、3の研究では、睡眠時間が7時間未満の人が7割を超えています。
このように、調査によって多少のばらつきがあります。

次に、民間調査会社の研究を4つ紹介します。

5.ポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社(スマートウォッチ)(2017年)
男性6時間30分、女性6時間40分

各国の平均入眠、起床、睡眠時間(男女別)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000015404.html

「Polar A370、Polar M430ユーザから得られた600万の睡眠データを分析した結果を発表いたしました。日本人の男女別平均睡眠時間は、男性6時間30分、女性6時間40分とそれぞれデータを分析した主要28カ国中最短の結果でした。28カ国中、平均睡眠時間が最長だったのは、男性はフィンランド人の7時間24分、女性はフィンランド人とベルギー人の7時間45分でした。日本人と比べ、男性は54分、女性は1時間5分の違いが出ています。これは、日本人の入眠時間は香港、スペインについで遅いにもかかわらず、起床時間が世界平均と大きく変わらないことに起因しています。」

やはりこの調査でも、日本人の睡眠時間は他国と比べると最も短いという結果となりました。

6.Fitbit(2018-2019年)(スマートウォッチ)6時間47分

Fitbitはよく使われているスマートウォッチです。匿名サンプルデータ(2018年8月〜2019年7月)の結果、6時間47分となりました。
また他国と比べると睡眠時間は短かったようです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000018554.html

7.ブレインスリープ(2023年)6時間43分

こちらは株式会社ブレインスリープが全国の男女10000人を対象に行ったweb調査の結果となります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000046684.html#:~:text=%E2%80%8B2.%20%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%9D%A1%E7%9C%A0,%E3%81%BF%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

8.フィリップス(2021年)平日 6.2時間, 週末 6.7時間


株式会社フィリップス・ジャパンが発表した2021年の睡眠時間のデータとなります。
「昨年に引き続き、日本人の睡眠時間は調査した国の中で最も少なく、睡眠に対する満足度も29%と最も低い結果となりました。」
とありますので、やはり日本人は睡眠時間が短いということになります。

https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/news/press/2021/20211703-pr-healthcare-sleep-world-sleepday-src.html

これらの民間会社の結果をまとめると以下となります。

5.男性6時間30分、女性6時間40分
6.6時間47分
7.6時間43分
8.平日 6.2時間, 週末 6.7時間

まとめ
公的機関の発表では、平均 7-7.5時間
民間会社の発表では、平均 6.5-7時間
という結果となりました。

一般的に、日本人の平均睡眠時間は7時間程度とされており、これらの調査結果もそれを裏付けるものとなっています。

次回は、睡眠不足による身体への影響について、エビデンスレベルが高い研究をご紹介します。

端的に言いますと、睡眠不足は、短期的には記憶力や注意力の低下、判断力の低下、免疫力の低下、精神的な問題(ストレスやイライラ)などの問題を引き起こす可能性があります。長期的には、心血管疾患、糖尿病、肥満、うつ病、認知機能の低下、さらには寿命の短縮などのリスクが高まることが示されています。

また、適切な睡眠時間が得られることで、免疫力の向上、病気の予防、記憶力や学習能力の向上、ストレスの軽減、心身の回復、健康的な体重の維持など、さまざまなメリットが得られます。

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