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現代フランス文学や映画を紹介しています! 時たま、趣味の話・日記なども投稿するかもしれ…

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現代フランス文学や映画を紹介しています! 時たま、趣味の話・日記なども投稿するかもしれません。 学生です

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小説の乗車券(2) アニー・エルノー『シンプルな情熱』に乗る

「文学における旅・移動」のテーマで作品紹介をするシリーズ【小説の乗車券】…第2弾となる今回は、2022年ノーベル文学賞を受賞して、話題を呼んだフランス人作家アニー・エルノーの代表作『シンプルな情熱(原題:Passion Simple)』(1991)を取り上げます! ⇩ 第1弾のカズオ・イシグロ『遠い山なみの光』の記事も、ぜひご覧ください ⇩ 1. 『シンプルな情熱』における、車のモチーフ? アニー・エルノーは、現代フランス文学を代表するオート・フィクション作家として評価

    • 映画監督モーリス・ピアラ (映画同人誌『ジャーナル・リュミエール 創刊準備号 寄稿)

      今回は、2023年9月に、メルキド出版編集の映画同人誌『ジャーナル・リュミエール 創刊準備号』に寄稿した記事を一部掲載します! 現在『ジャーナル・リュミエール 創刊号』も準備予定ですので、ぜひご期待ください。また『創刊準備号』はメルキド出版のBoothで販売されています。私の記事以外にも、インタビューや映画評論が寄稿されています! この『創刊準備号』では「ゴダールの世代」特集として、フランスの伝説的な映画監督ジャン=リュック・ゴダール(1930~2022)と、次世代の監督を

      • 小説の乗車券(1) カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』への旅

        旅のおともに本をえらぶ、といった方は多いのではないでしょうか。 すっかり時間を忘れて、小説に没入していると、もう気がつけば目的地・・・こういった経験は、旅の醍醐味のひとつです。旅先にちなんだ作品を選んだり、関係のない作品を選んだり、本選びからワクワクします。小説を読むこと自体が、現実からフィクションへ旅をしているようなものです。 読者とおなじように、作家も、登場人物も旅をします。 初めての場所を訪れたり、旅先で誰かと知り合ったりすることで、物語の深みが増すのです。紀行文だっ

        • アキ・シマザキ:「秘密の重み」5部作を読む

          1945年に原爆が投下された2都市のうち、広島にくらべると、長崎が小説・映画の舞台になることは少ないといえます。 戦前〜戦後の長崎を舞台にした作品で、私が思い浮かぶのは遠藤周作『海と毒薬』やカズオ・イシグロ『遠い山なみの光』、林京子「祭りの場」などの小説、木下惠介監督『この子を残して』という映画です。そういった長崎作品と肩を並べる面白さでありながら、日本にあまり紹介されていない作品が、アキ・シマザキのデビュー5部作「秘密の重み」です。 今回の記事では、この5部作を紹介した

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        小説の乗車券(2) アニー・エルノー『シンプルな情熱』に乗る

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          アブデッラー・ターイア 『国王の日(原題:Le jour du Roi)』の紹介

          前回に引き続き、今回は作家アブデッラー・ターイア(Abdellah Taïa)のもう一つの代表作『国王の日(原題:Le jour du Roi)』を紹介します!フランス国内の若手作家に与えられる文学賞・フロール賞を2010年に受賞した作品です。 著者ターイアについての紹介は↓こちらの記事↓をお読みください。 1. アブデッラー・ターイア『国王の日』内容の紹介(※ネタバレ注意) 他のターイア作品と同様に、本書も一人称語りの作品になっています。 1987年6月のとある3日間

          アブデッラー・ターイア 『国王の日(原題:Le jour du Roi)』の紹介

          アブデッラー・ターイア 『救世軍(原題:L'Armée du salut)』の紹介

          今回は、モロッコ系フランス人作家アブデッラー・ターイア(Abdellah Taïa)の代表作『救世軍(原題: L'Armeé du salut)』を紹介します! 著者ターイアについての紹介は↓前回の記事↓をお読みください。 1. 題名の「救世軍(L'Armée du Salut)」とは? 本書の内容を紹介するまえに、題名の「救世軍」について触れておきます。 救世軍(The Salivation Army)とは、1865年英国人牧師ウィリアム・ブース(William B

          アブデッラー・ターイア 『救世軍(原題:L'Armée du salut)』の紹介

          フランス現代作家紹介 第1弾:アブデッラー・ターイア(Abdellah Taïa)

          1. アブデッラー・ターイアとの出会い フランス・パリ11区にある有名なLGBTQ+専門の本屋「Les Mots à la Bouche」の文学コーナーには、世界中のLGBTQ+作家たちの本が並んでいます。『失われた時を求めて』のマルセル・プルーストや、『ダロウェイ夫人』のヴァージニア・ウルフ、三島由紀夫などなど。そのなかに「TAÏA」と書かれたポップを発見し、その不思議な名前に興味を惹かれました。どうやら、モロッコ出身のフランス語圏作家らしい・・・あまり分厚くない文庫が

          フランス現代作家紹介 第1弾:アブデッラー・ターイア(Abdellah Taïa)